しぜん標本箱/第10回「大雪原を忙しそうに歩く黒い虫」/伊達市室蘭市を含む西胆振のポータルサイトむしゃなび

むしゃなび
むしゃなびに参加する ツール


掲載日:2006.03.05 [998]


第10回「大雪原を忙しそうに歩く黒い虫」




今年の冬は、もういらないというほど雪が降りました。43年ぶりの大雪を記録し気象庁ではこの大雪に名前を付けたそうですが、3月になって昼間は太陽の恵みさえあれば暖かく感じられるようになってきました。しかし、早朝の外気温はまだまだ氷点下の世界です。 
山間を流れる渓流沿いの雪上を忙しそうに歩く黒い虫(体長約1センチメートル)を発見しました。名前はオカモトクロカワゲラ。 
昆虫といえば、蒸し暑い夏が活動の本番かと思いますが、雪原を虫が歩いていることに驚かされます。生き残りの戦略なのか、彼らは好んで氷点下の世界を満喫しているかのように歩いています。なんと、産卵のために川の上流をめざすそうです。 
宇宙船地球号は氷点下の世界から熱帯まであらゆる環境が整っています。地球環境の悪化が深刻な現代、この小さなカワゲラの命も大切な宇宙船地球号の乗組員です。 
この虫も名前を調べていくと、いろいろなことが分かります。和名は日本国内で通用する名前ですが、学名は世界共通の名前です。それはラテン語で [属名]と[種小名]そして[命名者]で表記されます。さっそく学名(Takagripopteryx nigra OKAMOTO 1922)を調べたところ、オカモト…の名前がついており、岡本半次郎(1882―1960)という人物であることが分かりました。札幌農学校で昆虫学を修め、北海道農事試験場、東北帝国大学、広島県師範学校校長など歴任された方だそうです。そして、1922年に発見された虫ということも分かりました。 
春の訪れとともに、活動を開始する昆虫の姿を見れる日も待ち遠しい時期になりました。 
 
むしゃなび昆虫図鑑 No.14
昆虫名 オカモトクロカワゲラ オカモトクロカワゲラ
分 類せき翅目 クロカワゲラ科
学 名Takagripopteryx nigra
分 布北海道、本州中部地方
大きさ体長約10ミリ
生息場所渓流地
出現期早春
特 徴体色は黒で羽根がある。3月頃の雪上で見られる。
解 説3月頃、産卵のため上流に移動する。
《飯塚淳市》

飯塚淳市プロフィール

飯塚淳市 
 
 生まれも育ちも東京の下町。まだまだ田んぼや池など広がっている中で、物心ついたころからナメクジやシャクトリムシなどの虫を牛乳瓶に入れては玄関に並べる、生き物好きの子どもだった。 
 幼稚園に入る頃のペットはナメクジ。小中学生時代は、部屋中に水槽や虫かご、鳥カゴを並べ、「小さなペットショップにいる生き物はすべて」ペットとして飼ったそう。高校生になると蛇に興味を持ち、アオダイショウを飼って卵を産ませ、幼蛇を飼育したことも。 
 そのまま生き物への興味を持ち続け、北海道の大学に入学し、昆虫学や動物学を学ぶ。キツネが年間にどれだけの昆虫を食べたかを研究し卒業論文に。身体の中のことが知りたくなって大学院へ進み、繁殖生理学を修めた。 
 その後、教師になり、子どもたちに生き物のことを教え、伝えている。 
 現在、北海道教育庁胆振教育局社会教育指導班の社会教育主事。伊達市のカルチャーセンター内の伊達市教育委員会社会教育課で、子どもたちとともに自然に親しむプログラムなどを年間を通じて企画開催している。 
《編集部》



◆ しぜん標本箱/第10回「大雪原を忙しそうに歩く黒い虫」 掲載一覧 ◆
10/13
09/14
08/16
07/13
06/16
05/18
04/14
03/05
01/02
12/05
11/15
10/20
10/11
09/19
09/03
08/18
08/05

室蘭市、登別市、洞爺湖町などを含めた伊達市近郊の情報なら『むしゃなび』
Copyright © 2004-2018 株式会社アップデート All rights reserved.