信木 指導者のレベルの高さが問題なのではありませんが、レベルの高さは積極的に打ち出すことが大切です。さらに重要なのは、そうした情報をインターネットで流すなどいつも公開しておくこと。この街で、子どもの教育のためこんな素晴らしいことをしているんだ、ということを知ってもらうことで、活動を納得してもらえます。
自分には関係ないと思う人がいるかもしれませんが、参加できなくてもまとめを見て、公演を聴く事ができると「充分市民に還元されている」と感じられると思います。
市民のための構想と
理解されるために
大島 現在の構想の実施内容は、市民に理解していただくための方法として充分でしょうか?
楽木 理想を言えば、たくさんのメニューを用意したいですね。でも、実施するにはスタッフ、資金のことを考え、実現可能なところを探っていくことが大切です。20年30年と継続して初めて果実が得られるのに、数年で頓挫するようなことではいけません。的をしぼり進めることが大切です。現実問題として、予算措置をどうしていくか、どういう根拠でいくのか。前回も述べましたが、私はそこへ企業が入ってくることが大切だと考えています。
阿部 参加している市民の比重がどのくらいになれば、市民のイベントと思われるのでしょうか? 実際には参加しない人も、誇りになるような、またアマチュアの方々も尊重されるようなことを工夫して考えることが大切です。
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石田 音楽の場合は、一番やりやすいのは音楽祭です。マスターコースと指導者向けのコースと公演をトータルなかたちで考えます。公演は一週間くらいの間で、大きな編成のものと小さなもの、地域に入っていくものがあればいいですね。どこかにアマチュアの人が入るところ、一流の音楽家と競演、また指導を仰ぐシーンを入れて行くと良いと思います。また、音楽祭の期間中に、美術部門で学んできた塾生の絵も展示することができるのではないでしょうか。
信木 それぞれの部門が充実しているので、シナジー効果をつくりだすとうまく行くと思います。教育の現場では、マスタークラスでのきめの細かい時間があり、これは重要で継続しなければならないものです。また、市民に対しては、その貴重で濃縮された時間に触れられる時間、機会をつくることが大切だと思います。各先生方はそれぞれお互いを見ながら、全体の事業の意図を見失わないように指導を進めること。ゆっくりでいいのです。大事なのは教育内容で、桁違いに良質なものが期待できるので、その大切な真実を市民に伝えることが大切だと思います。
積極的な市民への情報公開
信木 数字や結果にこだわるのではなく、やっていることそのものの価値を大切にすることが重要です。発表を恐れないという姿勢が大切で、いつも市民に「DVD」(記録ビデオ)で見せるなど情報発信をすること。時間がかかった事業を短く凝縮し、分かりやすくインパクトを与えるものを流すなどすると、ヒストリーもわかるし、スピリットもわかってもらえる。そうすれば人がまとまって動いてくれると思います。
大島 これまで研究所にきていただかないと活動の理解を得られないと思っていましたが、そういう発想がありますね。街中の黎明観やカルチャーセンターなどで「DVD」を流せば良いのですね。
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