活動の主体は誰?
担い手をつくるという発想で
楽木 (市民フォーラムの報告を受け)いろいろな意見が交わされたようですね。ただ、大事なことは、「誰がやるか」なのです。理念は分かった、じゃあ、俺にひとつやらせてくれないか、という人が一人でも出るか、ということです。
大島 出ますでしょうか?
楽木 出ますよ。粘り強く活動し続けたら10年後には必ず出ます。今までやってきたことが少しずつ血となり肉となってくる。そういう人が地域に広がり、当然次の担い手になってくるんです。
阿部 すばらしいことですね。地域の方にどうやって一緒の土俵にのっていただくか、ですね。逆にいうと、何をやっていくかではなく、我々が、例えばピアノの先生方が何をしていきたいのか、を引き出せるような形を考えるということですね。
楽木 いろんな立場があっていいと思います。自分に与えられた環境の中で自分にやれることを考える。誰かが、企画し、動かねば街中の空き店舗は美術館にならないのです。市民フォーラムでの意見にあるように「いつも何かやっている場所あればいい」はいいけれど、では、誰が何をやるのか。そうではなく、私もやるからどなたか一緒にやっていこうという動き、皆でそういう場がつくれればいいと思います。
地域の一員としての
企業の地域貢献として
目的をしぼった寄付
大島 行政だけではなく、企業の支援も大切ですね。
楽木 支援という言葉は、企業が、施すというイメージをもってしまうから良くないです。誰かに依頼されてするのではなく、その地域にお世話になっている企業が、地域の一員として責任を果たすことが大事です。
大島 伊達ではメセナ協会がありますね。
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楽木 確か以前、石田先生がこの構想推進に対し支援することに触れ、「私は伊達へ来てから何も地域に対して貢献してこなかったので、その責任を果たしたい」という言い方をされました。そして、こういう考え方のこういうところに自分は支援したいと明確にされたことを伺いましたが、とても感動しました。
大島 それはひとつの新しい形であると思いました。目的をもって資金を提供する。ある企業は岩崎淑のコースに、ある方は文学フォーラムに支援する。そういうことがこれからの理想の形ではないでしょうか。継続性という意味からも行政を後押しするものです。
楽木 行政は平均的なところを求めるので、なかなか特化した成果が出にくいですね。企業が地域の一員を自覚し、将来のためにと少額でも企業計画にのせて行くようになると一番いいです。そしてお金をだすと、ある程度意見も出してきます。これこそ結構なことでいろんな論議が活発になってきます。
人材の「移植」と情報発信で 噴火湾文化研究所を
活動のシンボルに
信木 目的が人材育成なので、市民の理解がおぼつかないこともあるでしょう。そんな時は理解を働きかけてくれる方に、積極的に伊達に来てもらい市民になってもらうといいのでは。あるいは、育てる人材がここにない場合は、ここへ来ていただく「移植」という考え方もできます。
地元の方に開放することと、外から来てもらい市民として参加してもらうという両面から方法を考えると良いでしょう。
信木 もう一つの視点は、噴火湾文化研究所で高いレベルの人材育成活動をやっています、と世界に向け発信することです。人材育成に関しては、その反響が返ってきたときに初めて、市民にとって活動の意味が受け入れやすい状況が生まれます。
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