ある晴れた日のこと、私(編者)は伊達で古くから納豆を作っている「伊達納豆」さんの製作所を訪ねました。
「ごめんください。むしゃなびです!」
ガラスの引き戸の奥から伊達納豆の先代、大友正信さんらしき声がして、私は納豆作りの現場に、ではなく、まずその棟続きになっている自宅へとおじゃましました。
大友さんは、こたつの中から茶の間へ招きながら、言います。
「散らかってるけど、まあ、あんまり家がきれいに片付いているようなら商売はダメだあ!」
忙しく商売をしていると片付ける時間がない、という意味です。
そうは言っても、商売人ではない私のウチよりずっと片付いておりました。
この大友さん、納豆を作り続け、売り続けて63年。
はじまりは、かつて大友さんが「納豆屋のボクちゃん」と呼ばれていた63年前、13歳の少年の頃にさかのぼります。
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