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実はちょっと心配していた。「商店街の陶器専門店って、どんな品揃えなんだろう。数千円の贈答用のセット商品ばっかりだったら、記事になるかなあ?」。器好きだけれど、実はこういう「街の陶器屋さん」にはほとんど足を向けたことがない。
ちょっとどきどきしながらお店を訪問した。
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「こんにちは〜」店内をぐるりと見渡すと、商品のほとんどが、和の陶磁器。一部にマグカップやプレートなどの洋食器や、漆器、ガラスなどもあるけれど、有田を中心に、京焼きや美濃や益子など全国のやきものが集められている。ディスプレイテーブルに美しく飾られているのは私の大好きな染付けの皿。白い素地に藍の染付けが美しい。
ややっ、あれこれ積み重ねられた中に、白山陶器(株)の「G型しょうゆ差し」(グッドデザイン賞受賞モノ)を発見。こんなところで40年前に生まれた日本のモダンデザインに出会えるなんて、さすが専門店だな、と嬉しくなってきた。
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「和食器のよさ」
「和食器を中心に取り揃えています。和食器はいいですよ。洋プレートにお刺身盛るわけにはいかないけど、和食器は和洋両方の料理使えるでしょう。主に有田焼を置いていますね。やっぱり自分の好きなものを選んでいます。有田は生地が美しくて丈夫。ちょっと値段は高めだけど日常に使ってほしい。私もいくつも使っていますが、壊れにくいですよ」と店主の平田さゆりさん。
有田の染め付けや色絵もの。あでやかな京焼き。平田さんセレクトの器は、つややかに透き通るような美しい地肌に、熟練の職人さんによる手描きだったりと、じっくり見て触ればそのお値段も納得できるものばかり。もちろん手ごろな価格帯の器もあるけれど、平田さんセレクトの陶磁器を目当てに、デパートに行くよりいいものがあるからと、遠くから通う器好きもいるそうだ。
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「現代に生きる伝統の柄」
あれっ?このお皿、このあいだ博物館のガラスケースの向こうにみてうっとりしていた柄だ! 有田の染付芙蓉手。そうか、今でも作られているんだなあ。桃山や江戸の昔から脈々と引き継がれてきた名品が、ちょっぴり形を変えて、我が家の食卓にのぼれるのか!と、びっくり。
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よくよく周りを見渡してみるとあるわあるわ。素敵な染付けがたくさん。骨董のいいものは、いつもお財布と相談してあきらめてばかりだけど、現代の職人さんたちの手によって、伝統の美しさが日々の暮らしに取り入れられるんだなあと思うと感激した。
平田さんも、「網目模様、唐子、蛸唐草に梅などの花の柄など、時代がかわってもこういう古典的ながらのものはでてくるんですよね」とおっしゃる。
「和食器は好きな柄でもシリーズでそろえる必要はないんです。ぜんぶ同じだと、食卓がくどくなってしまうから。染め付け、赤絵、土のもの、など少しずつとりいれるとお互いにはえますよ。新しいものを一つ買って、自分が持っている食器と取り合わせをあれこれ試してみてください、新たな発見があると思いますよ」とアドバイスしてくれた。
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「むかしは
問屋さんが担いできてね・・・」
伊藤陶器店は平田さんのご実家で、昭和20年代後半の創業で場所を変えず営業してきた。平田さんは小さな頃からお母さまの仕事ぶりをそばで見て大きくなったそうだ。平田さんが子どもの頃は、大きな荷物を担いだ問屋さんが全国からやってきて、商品を卸していったそう。
「あのころは、毎月のように全国の産地から問屋さんがやってきてね。子ども心にとても楽しみだった。それが集中すると一日に何か所からもってこともあって。このあたりもずいぶん賑やかだった。九州や金沢、岐阜や京都などいろんなところの言葉が聞けるし、お正月やお盆なんかのその地方独特の風習が分かって楽しかった」と当時を振り返る。
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「今はほとんどがカタログで注文。数年前まであった札幌での見本市も今はもうなくなったし。不況のせいでしょうね」と残念そう。それでもまだ年に一度位は有田から新商品をもって問屋さんが訪れるそうだ。
「さわったときの厚み、大きさ、重さなど、写真ではわからないですから、実物を見て触って買うのが一番ですよ」とおっしゃる平田さん自身、数年に一度は京焼きを仕入れに京都へ行かれるとか。見掛けもお値段もゴージャスな京焼の一点もののカップ&ソーサーも、なかなか他ではみられない、このお店ならではの特徴かな。
お店のあちこちに「器がごちそう」と書いてある。小さな頃から素敵な器に囲まれて育った平田さんならではの言葉だろう。
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最後に専門店ならではのサービスってあるんですか?と問うと、「そうね、例えば5つセットのもので一つ欠けてしまったらそれを補充することができますね。茶わん蒸しの蓋だけとかね」とのこと。
初めの心配はどこへやら。街の陶器屋さんは店主の素晴らしいセレクトショップでもあるんだな。好みの器に出会えたり、今に引き継がれる伝統の新たな発見もあったりと大満足。これからも応援していきたいな。
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有田の軽量碗
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持ってみて、はっとするほど軽い器。手の力の弱い方や、お年寄りにプレゼントしてはいかが?
プラスティックの味気ない器ではせっかくの食事の味も半減しそう。
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「使い勝手、手触り、口当たり。焼き物の質はそのままに、厚みもかわらず軽い器」がうたい文句の有田焼の軽量器。これを開発した人の心遣いに心があったか〜くなる商品です。
福祉の街伊達の商店街に置かれているっていうのもいいですね。
湯呑みももちろん、重いものが多いどんぶり碗もいいですね。色、柄多数あり、注文できます。(湯呑み1,470円、お椀1,050円)
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SHOP DATA
伊藤陶器店
伊達市網代町7
0142-23-3383
10:00 〜 18:00
不定休(主に日曜休み)
「武者なび」内 伊藤陶器店
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