伊達に来たばかり頃、車を運転していて国道から東山が見えるたびに雄叫びをあげていた。
「なんか〜自由だなあ〜」と楽園を満喫していた。
もともとポジティブ志向なのだろう。
仕事を辞めて、まだ次の仕事も決まっていないのに、ついついほくそ笑んでしまう。
頭がおかしくなったのかと言われても、笑っていたのではないか。

それだけ東京での仕事がストレスだった。
実際移住して半年位は東京で仕事をしている時の夢を見た。
あまりのリアルさに嫌な汗を何度もかいた。

夜中の2時に帰って朝6時には家を出る。
仕事場が議員会館と国会議事堂なのだから当然だが、常に緊張感が張り詰めていた。
陳情、要望、相談など面会希望者はひっきりなしで、日程調整はひと仕事だった。
たくさんの人と会って、たくさんの話しを聞いた。
電話で1時間近くずっとクレームを言い続ける人の対応もあった。
すべてが大変だったけど充実していた。

そして歳を重ねるごとにこの仕事のおもしろみもわかってきたが、
家族を含めた自分の未来を描けないこともわかった。
そしていつしか俯瞰して考えるようになって、
もっと自分よりふさわしい人がたくさんいるはずだと気づき辞める決意をした。

あの33歳がひとつの区切りだった。
今もあの時、辞めたことを後悔していない。
都会で働き続ける理由はそれぞれあると思うが、
今でも通勤だけであくせくしている人をみる度に、
田舎の暮らしの方がずっと人間らしいのになあと呟いている。


この町に思うこと こくぼ重孝

アクセス総数:9,591

25年前、東京からこの北海道伊達市に移住した。都会であくせくして生きてきた自分にとって、この街は楽園のようだった。そんな楽園も暮らしていくといろんなことがあった。徒然なる街ではなく、変化があり退屈しない街に住んで感じたことを600字に絞って綴っていこうと思う。

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