伊達発

遠くへ行きたい

心の伊達市民 第一号

心の伊達市民 第一号伊達季節移住のススメ

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

午後5時を過ぎると、西の空が赤くなる。夕陽である。
その頃に羽田空港へ着陸姿勢に入った飛行機が、次々と夕陽を背に飛んで来る。
飛行機は東京タワーの上空を通過して、段々と高度を下げる。
その光景を窓から見ていると、そんな時に「遠くへ行きたい」と思う。

 東京タワーの上空から羽田空港に向かう飛行機。

 

1962年に作詞・永六輔、作曲・中村八大、歌・ジェリー藤尾で大ヒットした「遠くへ行きたい」という歌が頭の中を流れた。私はあの歌は好きだった。しかもメロディーが心地良かった。

【知らない町を歩いてみたい どこか遠くへ行きたい 知らない海をながめてみたい どこか遠くへいきたい 遠い街 遠い海 夢はるか ひとり旅】
この歌は、まるで今の私のことを歌っているように思える。

ウィングボディのトラックが荷下ろし中

 

最近の私は年とコロナで、なかなか遠くへは行けなくなった。
せめて遠くへ繋がっている海に行って、そこで遠くへ行ったつもりになろうと考えた。
一番近い場所は我が家から10分も掛からない、豊海水産ふ頭である。
ここへ行けばレインボーブリッジの下をくぐって来る船も見られるし、潮の香りもする。

荷台を見たら、「シラス」があった。

 

マンションの裏口から出て細い路地を海の方に進むと左手に「豊海公園」があり、親子連れが遊んでいる。
そのまま進むと豊海小学校を過ぎて、倉庫街に出る。
ここから先は水産倉庫が集まっている場所で、大型トラックが引きも切らずにやって来る。
一般の人が通る道ではないので、気を付けないとトラックに轢かれてしまう。

 トレーラーの写真を撮る「撮りトレ」

 

私の少し前で大型トレーラーに向って、カメラを向けている若い男がいた。
「この会社の関係者かな?」と思ったら、次に別のトレーラーのところへ行って、また撮影している。
雰囲気からしてプロではない。彼は「撮り鉄」ならぬ「撮りトレ」のようだ。

大型トラックには目もくれず、トレーラーばかりを撮影していることからそれが分かる。
「色々な趣味の人がいるんだなー」と、初めて「撮りトレ男」を眺めていた。

 大型トラックが入り乱れている豊洲埠頭の倉庫前

 

大型トラックやトレーラーに積まれた荷物を、運転手がフォークリフトを使って次々と降ろす。
それを冷蔵庫のある入口に運び込んでいる。

直接、トラックの荷台を建物の荷受け台に着けている車もある。
どうやらフォークリフトで降ろしているのは「冷蔵品」で、直接、荷受け台に着けるのは「冷凍品」らしいと分った。目の前のトラックから降ろしているのは、私の好きな「しらす」だった。

冷蔵倉庫の入口と、積み上げられたパレット。

 

トラックを避けながら、ふ頭の突端まで行った。
そこから先は東京湾で、外国に繋がっている。潮風に吹かれながら「遠くへ行きたい」を口ずさんだ。
私の後ろではトラックとフォークリフトが走り回っている。みんな「ガテン系」の逞しい男達だ。

わき目もふらずに働く男達の姿を見て、羨ましくなった。やはり「人は働くべきなんだ!」と思った。
「遠くへ行きたい」つもりが、なんだか「働きたくなった」のだった。

 豊海埠頭の先端から見る「東京湾」

 

(おまけの話)
水産ふ頭で、面白い車に出会った。
小型の軽トラックに「クジラは食のダイヤモンドだ!」と、大きく描かれていた。
なんだろと横に廻ったら、そこには「2019年7月 商業捕鯨再開 クジラのキッチンカー」と書いてあった。

クジラの商業捕鯨が始まったのは知っていたが、ここでキッチンカーに出会うとは思わなかった。
丁度、軽トラックに荷積みをしているオバちゃんがいたので、『キッチンカーは、いつもここにいるのですか?』と聞いたら、『ここは木曜日だけです』と言った。

 「クジラは食のダイヤモンドだ!」と書かれた車。

 

私の子供の頃はクジラ食は普通だった。大学の食堂でも「文化丼」という名前で、クジラ肉のカツ丼風が食べられた。私はクジラ漁に興味を持っていたので、世界的に話題になった映画「The Cove」、それに異議を唱えた日本映画2本「Behind the cove」と「おくじらさま」、そして最近はインドネシアのクジラ漁「くじらびと」を見ている。
牛・豚を殺して食べている欧米人が、気安くクジラを食べる人を批判してはいけないと思う。

  受取り口の横にメニューがある。

 

そこで翌週の木曜日に、キッチンカーにクジラ・ランチを買いに行ってみた。
メニューを見たら「くじらカレー」と「くじら弁当」の2種類だった。
カレーでは肉が何でも味が同じになってしまうと思い、「くじら弁当」を買った。

その弁当を持ってマンション3階の外のテラスで、1人で食べてみた。
コロッケは肉が少なくて分からない。竜田揚げは小さな肉片が2枚で味わうには少な過ぎたが、ほのかに懐かしい味がした。次はカレーを買ってみよう。

         「くじら弁当」(500円)      クジラ肉のコロッケ、クジラ肉の竜田揚げ、ご飯、海苔、タクアン。  

コメント

    • 信濃 征太郎
    • 2021.10.19

    遠くへ行きたい。去年の二月以来、市内から外に出ていません。いや、一度だけ用事で隣市の淵まで行きましたが。海が見たい。山に行きたい。山は二階から遠くを見れば見えてはいますが、そこの空気が吸いたい。 子供のころクジラの肉をよく食べました。元の体のかなりの部分がクジラの栄養分によって形成されたかもしれません。今は全く食べなくなりました。

    • Shinji
    • 2021.10.19

    家から10分で豊海水産ふ頭、そこでくりひろげられている水産物の搬入。スケールの巨大な東京の台所がひと目で見えますね。たとえば、しらすの入った大きな箱。その箱にしらすが一杯つまっているなど、想像しただけでもすごい量です。