「アートするひと」、今回は詩画(しが)作家の
「がんちゃん」こと井樫和夫(いがし・かずお)さんを紹介します。
井樫さんの作品は、絵と詩が一緒になった詩画と呼ばれるものが代表的です。
日常の出来事の中から、ふだんなら気がつかない小さな思いや、ふと思ったことなどを綴った何気ない詩が、絵と一緒になって、見る者に共感を呼び起こさせます。
現在は新道展に向けて、大きな絵にとりかかっているということです。
去年も入選を果たしたという新道展への出品作品は詩画ではなく、言葉の入らない水彩画です。
「絵だけっていうのは、どんなもんか、評価を知りたくて」
と、井樫さん。「意外とイケルんじゃないの?」と笑います。
画材は、透明水彩と、アクリル絵の具。
経営している
「喫茶パル」の店内の片隅に画材が置かれ、ここが井樫さんのアトリエにもなっています。
井樫さんが絵を描き始めたのは釧路にいた小学生のころ。
誰もがそうであるように、学校の授業で水彩画を描き、それを今でも続けている、といいます。
詩のほうも、高校生のころから日記のように書き続けていて、
そのノートはもう何冊にもなります。
高校時代のノート、そして井樫さん曰く「風来坊」のころのもの、そして伊達に定住してからのもの。
風来坊のころのノートは、岐阜や宮城など、それぞれ数年間働いていた土地での出来事が、詩や落書きのようなメモで書き留められています。
現在のメモも含め、その中から選び出したり、組み合わせたりして詩として整え、絵と合わせて詩画を完成させます。
風来坊のころの仕事のほとんどは飲食店勤務だったと言います。
「食いっぱぐれないだろうと思ってさ」
そして、仕事が休みの日には、道ばたの似顔絵師になって似顔絵を描きはじめました。
12年間の風来坊生活の後、釧路に戻った井樫さんは、レストランに勤めはじめ、32歳になるころ転勤で伊達に。そして定住することになりました。
やがて勤めを辞め、伊達紋別駅前で喫茶パルをはじめます。
それ以来、伊達駅前の風景や色々な商店の店先を描き、商店街が発行する冊子になるなど、絵を描くという井樫さんのライフワークは少しずつ変わりながら、しかし変わらずに、ますます元気に現在進行中。
今年の2月には札幌の四丁目プラザで個展を開いたり、
伊達の道の駅で販売もはじめました。(詩画複製・額入り・2800円前後)
また「喫茶パル」でも販売しています。駅前の絵描き「がんちゃん」に会いに訪ねてみてください。
井樫和夫
喫茶パル
北海道伊達市山下町161
電話0142-25-5144
席数約13
営10:30~23:00(日曜定休)
※夜アルコールあり
※記事の内容は取材時の情報に基づいています。
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