
坪川夏織さんは神奈川県藤沢市生まれのイラストレーター。
近年まで東京に住んでいたが東日本大震災の後、まだ幼い息子たちへの原発事故の影響を考え、室蘭市に越して来た。夫であり映画監督の坪川拓史氏の親類が残した家があったからだ。
その家は輪西町の急勾配の坂の上にある。窓からは工場と町が一望できる。
「見晴らしはいいけど、特に冬はたいへんです。坂は凍るし、風も強いし」
と夏織さん。
しかしそのきびしさも含めて坂の上のその家を気に入っているように見える。
ーーー<子供の時に見た絵>ーーー
夏織さんが絵を描くことに興味を持ちはじめたのはまだ幼いころで、
「ちょっと器用な子供だったので、周りの大人に褒められたりして、その気になったのかも」と笑う。
親類にイラストレーターがいて、その人の影響もあるそうだ。

また、母親が絵を鑑賞することが好きで、ときどき一緒に美術館に行った。
よく覚えているのは「エゴン・シーレ」の展覧会で、その頃は「この絵、嫌い」と思ったが、大人になった今は、そのときに見たような、暗く、ドロドロした、物語のある作品に強く惹かれるようになった。
「さわやかな絵って描けないんですよね」と夏織さん。
現在、好きな作家はクリムトや宇野亜喜良、など。
(左の絵・夏織さん作品(むしゃなび絵本より))
高校卒業後は東京の歴史ある専門学校「文化学院」に入って油絵を描きはじめる等、本格的に美術の勉強をはじめた。
「その頃に坪川くん(夫)と会ったんですけど、彼は学生でもないのに授業を受けに来ていたらしいです」
と夏織さん。「坪川くんはそのころから映画を撮っていて、結婚してからもまだその映画を撮ってました」その映画とは、完成までに9年をかけた「美式天然(うつくしきてんねん)」。
ーーー<映画の「美術」として>ーーー
坪川氏と出会ってからはその映画の美術担当として、監督の突然の要望に応えるために奮闘した。
あるときは「明日までに鳥かごがいる」ということで、現場近くのホームセンタ−に飛び込み材料を工夫し、映画のイメージに合った鳥かごを作った。
吉田日出子さん演じる画家が描いたという設定の油絵を何点も描いたこともある。
そうしながら有名デパートの社員として働いていた時期もあるが「やはり違う」と思ったそうだ。様々な規則の中で働くことに疑問を持ったのだ。
現在、髪を短く刈り上げているのは「髪型をどうしようと今の自分は自由」だから、というのも理由のひとつ。

ーーー<ねこを描く>ーーー
坪川氏は自作映画の関係者を含むメンバーで「くものすカルテット」という音楽グループを結成し、活動するようにもなった。
そのライブのチラシを夏織さんが作ったのだが、そこに登場するメンバーは、猫の姿で描かれた。
「チラシが出来てきたら猫だったので、ライブをするときにみんな猫の恰好で演奏することにしました」
と坪川氏。
以来、アルバムやチラシも夏織さんが描く猫の絵が使われている。

坪川家の猫の名は「ポックル」。
東京からもポックルと同じ白黒模様の老猫2匹を連れてきたが、最近他界した。
ポックルとの出会いは、輪西の町中で、
「道路の真ん中に倒れてたんですよ。ひかれたんだと思って、車を止めたら、急にむくっと起き上がってこっちに向ってものすごい勢いで走ってきたんです」
そしてすぐに車に乗り込んできたそうだ。
ポックルは当たり屋だ、と夏織さん。
「それで連れて帰ってきて、ふと気がついたらノミ取り薬が一つだけ残っていて、この猫はうちに来ることになっていたんだ、と思いました。
その頃は「ジーサンズ(2匹の老猫)に飛びかかって暴れてました」。

むしゃブク絵本「ねこの号」に掲載の作品「アレブリダ」には、そのジーサンズやポックルと同じ、白黒模様の猫が登場している。
自分のイラストについては
「今は、単純に、自分の絵を人に見てもらうことが、うれしいんです」
東京では雑誌の挿絵イラストなどの仕事を始めていたところだったが、今後は室蘭など地元でイラストの仕事を探したい、と語る。
(次回、坪川拓史さんの紹介につづく)
坪川夏織 つぼかわかおり kumokaru@yahoo.co.jp (他:Facebook)
むしゃなびブック2絵本の巻「ねこの号」・6月15日発売(発送)開始。
夏織さんの絵と坪川氏が共作した作品と、
この、夏織さん紹介記事も掲載です。どうぞご覧ください。
詳細
Http://www.up-date.co.jp/mushabook/
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「坪川拓史監督全作品上映会」開催!
6月29日(室蘭)/7月1日(伊達)
共に監督ご本人のトークあり。
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(連絡:090-9750-0620 堀岡)
チケットはプレイガイド各店、または
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※記事の内容は取材時の情報に基づいています。(取材2012年)
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