浴衣の布をスカートやワンピースに仕立てたり、古布の小物を作ったり、布の手作り作品を作っている「おかめ堂」の廣島夕美子さんは洞爺の湖畔に住んでいる。
その作品はどれも丁寧な作り。服類は着心地抜群。
そしてなにより、彼女の作品は、日本の生地の模様の素敵さを再発見させてくれる。
<浴衣の生地はアフリカに通ず?>
夕美子さんが浴衣の生地で服を作り始めたのは、彼女が参加するアフリカの太鼓のグループ「トヤトヤ」のライブのときに着る服を浴衣の生地で作ってみたのが始まり。意外にもアフリカ的なものが出来上がり、着てみると「かっこいい!」と、自分もびっくり、メンバーもビックリ。
「日本の生地が、アフリカっぽいことに気がついて、おどろきました」
みんなも欲しいと言いはじめめ、ミシンを持ち寄って見よう見まねで衣装を作りはじめた。
「みんな、まだほとんど何も作れないのに、あれを作るこれも作ると盛り上がっているので、笑いました」
夕美子さん自身は数年前から本格的な洋裁を学んでいる。
夕美子さんはとにかく布が好きで、常に布を探していると言う。
「本当は、布で何かを作らなくても、並べておくだけでも満足なんですよ」
気持ちにぴったり来る色合いの布や、ちょっと不思議な模様の浴衣生地などを見つけるとオークションで競り落としたり、地元のリサイクルショップにも探しに行きます。
「布ってどうしてこんなにかわいいんでしょうね」と、満面の笑み。
布のストックが溜まるほど、何を作ろうか、という空想も膨らむ。
この布は何にするとかわいいかな、、、。この布は、あの布を組み合わせて、、、、。
考えはじめると組み合わせは無限大。
「考えるのが一番大変で、時間がかかります。でもそれが楽しいです」
<旅をしていた頃>
そんな夕美子さんは石川県の出身。二十代はバイクで旅をすることに明け暮れたそうだ。
日本一周を目指し、各地をまわった。初めて北海道に来たのもこのとき。しかしまだ移住はせず、その前に沖縄や、インドなどの海外も旅した。
「インドはいいよー」と夕美子さん。色々楽しいこともあったようだが「でも、インドで40度の熱が出て「マラリア」だと言われたんでタイまで行って入院したら「デング熱」だと言われて」少し体調が良くなって帰国して日本の病院で検査を受けるてみると、健康だと言われた。
「・・・いったい何だったんだろ」と笑う。
<北海道人にカルチャーショック>
高校生のころから人間のおかしな上下関係に耐えられず部活動もすぐにやめた。大人になってからは会社での上下関係に、やはり疑問を持ち続け、今も「あの上下関係って何なんだろう」と、つぶやく。
そんな思いを抱いていた夕美子さんは、以前来たとき「決まった仕事をしないで生きている人」がいっぱいいることにショックを受けた北海道に移住することに決め、また、夫で大工の光敏さんとの出会いもあって、洞爺に住むようになった。
<おかめ堂の冬は編み物リメイクの季節!>
「幼い頃は、母親が編み物をするのを見て眠くなってました」
今でも編み物をする人を見ていると眠くなるそうだ。
夕美子さんは、夏は浴衣生地の洋服や小物、そして冬になると編み物のリメイク作品を作る。
編み物をするのではなく、編まれたものをミシンでつなぎ合わせるなどして、見た目も楽しいあったかな作品を生み出す。毎年、販売したいという申し出が少なくないのだが「手作りなのでそんなに沢山作れないんですよ」とのこと。
数量限定の「湯たんぽカバー」はネットショップで、すぐに売り切れてしまう。
作品は「とうや水の駅」、伊達市内では「駄菓子カフェ れん」、その他イベントなどで販売しており、むしゃなびブック3に掲載の作品、和布の「マカロンケース」も各店で買うことができる。(下記おかめ堂でも注文できます)
廣島夕美子 おかめ堂
北海道虻田郡洞爺湖町洞爺町21/TEL 090-2059-4118/MAIL furimun-yumi@hotmail.co.jp
むしゃなびブックも見てねっ!
新刊 3号「絵本の巻・花の号」
<11月1日発売(発送)開始予定>
掲載作品「明日」(文・新美南吉/布作品・廣島夕美子)ほか、地元作家のオリジナル作品を物語でお楽しみください。
・ブック詳細
Http://www.up-date.co.jp/mushabook/
・メールで講読お申し込みは info@mushanavi.com
※記事の内容は取材時の情報に基づいています。(取材2012年)
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