<春掘り長芋の収穫リポート>
やっと春らしくなって、いよいよ春野菜を味わえるシーズン到来。
洞爺湖畔にある「とうや水の駅」には今が旬の山菜を紹介するコーナーが登場、
行者にんにく、クレソン、葉わさびなどが並び、
「こじゃく」なる珍しい野菜は、少し苦みがありまさに春の味だ。
そしてぜひ、春に味わいたいのが春掘りの長芋。
雪の下でしっかり栄養を蓄えた、瑞々しい長芋がそろそろ店頭に並び始める。
今年は雪どけが遅く、収穫も例年より一週間位遅いということだが、
その収穫現場を見せて頂くために、洞爺湖町高台にある「青野農園」にお邪魔した。
朝7時、羊蹄山が遠くにそびえる広大な長芋畑に、何台ものトラクターが行きかう。
風が強く、4月下旬だというのにダウンジャケットが欲しいくらいの寒さだ。
雪がやっととけた畑は思う以上に火山灰粘土質で、黒々としている。
固い土で育った長いもは、根を伸ばしにくいため、
自らに養分をため込み、がっちり育つと聞いていたが、
なるほど、目の前に並ぶ掘りだされたばかりの長芋は、太くてなんとも力強い。
長芋掘りは重労働だ。
トラクターで長芋収穫専用機械を牽引しながら、土と長芋を掘っていく。
写真ではよく分からないだろうが、土の中に鍬が入っていて、
それをトラクターで引っ張ることにより、土の中の長芋を持ち上げてゆくのだ。
土の中から長芋を引き出すのは手作業だ。
今回、取材協力頂いた「青野農園」の青野敏志さんは、
膝下まで土につかりながら、長芋が傷つかないよう、
注意しながら一本一本丁寧に引き抜いていく。
5年前に農家を継ぐためにUターンした頼もしき四代目だ。
「美味しそうな長芋ですね〜」と声をかけると
「土の粘度が高いので掘り出すのは大変なんですよ」と
笑顔で答えてくれたが、高速で掘り起こしていくマシン相手に
一時も気を抜けない緊張感が漂っている。
掘り出された長芋をスタッフの方が拾い上げて次々とコンテナへ。
寒い中、何人もの方が腰をかがめ黙々と作業にあたる。
この日は9人の方で作業していた。
コンテナ一つが約500kgで1日10〜20個を堀り、
だいたい作業は1週間位で終了するという。
その後はごぼうを堀って、人参を植えるなど、
農作業はこれからがピークだとのこと。
毎日、毎日、自然と格闘しながら、
美味しい、新鮮な野菜を届けてくれる農家の皆様には本当に頭が下がる。
ご厚意に甘えて、頂いた長芋をさっそく試食。
真っ白ですりおろすと驚くほど、粘り気がある。
淡泊な味なので、どんな料理にも合い、
キムチ漬けや、ようがらし漬けなどの漬物にもぴったりだ。
青野家レシピをお母様から伺ったところ、
豚丼にするととても美味しいとか。
試しに作ってみたら長芋のシャキシャキした食感と
ホクホクした甘みが際立ってとっても美味。
長いもはたんぱく質の消化吸収を助けるムチン、
ビタミンB 群、C、カリウム等のミネラル、
食物繊維などがバランスよく含まれている健康食材。
様々なレシピで春堀りの長芋を味わってみては。
記事:後藤洋子
※記事の内容は取材時の情報に基づいています。(取材2013年4月28日)
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