北海道人にはわからない、
さすが北海道!と思える「ならでは」とは?
関東地方から伊達市に引っ越してきて10年を過ごし、
ふたたび戻ることになった花菱薫さんと、道産子編集部員の対談。
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<さすが北海道!その1・春先になると、、、>
花:こっちに来て一番おどろいたのは、春先になるとみんな山に入って行くな、みたいなね。どうしてそんな所に車停まってるの?(笑)って思いましたね。何台も。
編:あ、山菜採りですね!
花:みんな行くでしょ? なにもそこまで採りに行かなくても。
編:春になった!って嬉しくなるんですよ。なんというかピクニックに行くような・・・
花:いやいや、もっと「行かなきゃいけない!」っていう使命感を持ってるような気がしますよね。
編:そう?・・・そうかもしれない(笑)。私も幼い頃、親に連れて行かれて山菜採りしました。
花:誰かの所有地では?(笑)勝手に入っていいのお?
編:ああ!確かに、、、でも昔から採ってるから、、、(笑)
<さすが北海道!その2・ガードレールに大根>
花:山菜採りが終わって秋になると、今度は漬け物ですよ!みんな漬け物を漬けはじめる。
編:へえ、そうですか?
花:スーパーにコーナーができて漬け物グッズ満載になるじゃないですか。
編:糠とか、漬け物用のでっかい塩とか。
花:関東地方のスーパーは、レイアウトは一年中、変りませんから! こっちの人、そんなにみんな漬け物を漬けるのかなあ?
編:うーん、どうなんでしょう? うちの近所はわりと田舎なのでみんなたくあん用の大根を干してますよ。冬の保存食みたいな感覚かも。
花:でも道路のガードレールのふちなんかにかかってるでしょ。
編:え、そうですか?
花:雨にもさらされてるし。
編:それがいいんじゃないですか?
花:え、だめでしょ?(笑)あれってほんとは軒下に干すものなんじゃないですか? ガードレールだよ? 車通ってるし、それにガードレールって明らかに公共のものでしょ! さすが北海道っ! それと、あれにはびっくりした。漬け物用の巨大なキャベツ。
<さすが北海道!余談・干せない北海道、冷蔵庫マジック?>
編:軒下に吊るしても、なかなかいい天気が続かなくて、本州みたいに干せないんじゃないでしょうか?
花:あー、梅干しなんか干せなくて困ってしまうもんね。
編:そういえば、冷蔵庫の中にずっと入れてあった大根が、しなしなになって、うまい具合にミイラ化することってあるじゃないですか。まだ使えるかなと思って切って一枚食べてみたら、干せてるだけなのに、もうたくあんの味がするんですよ! 漬けなくても、甘みが凝縮されておいしいんです!
花:(笑)どのくらい冷蔵庫に?
編:二・・・いや一ヶ月くらいでしょうか。
花:・・・。(怪訝な顔)
編:や、ほんとなの!美味しいんですよ、食べさせてあげたい。
花:それ、ごはんのおかずにして食べてるの?
編:おかずとまではいかないけど、、、サラダ感覚というか。
花:そういえば、きのこなんか、買って来てからちょっと天日に当ててから食べると栄養価がぐんと上がるって言いますよね。シイタケなんか天日に当てなくても冷蔵庫の中で、そうなってるときありますね。
編:ああ、シイタケね!うまく干されてるときありますよね。
花:冷蔵庫マジック! でも大根を一ヶ月冷蔵庫の中に放置しておく勇気は私にはありません。
<さすが北海道!その3・道が広い。そして暑い関東>
花:道路が広いのはいいですよね。ときどき東京に戻ると「道せま!」と思いますね。
編:東京なんかでは狭い道をバスが通ってておどろきますよね。
花:バスの運転手さん、運転うまいよね。
編:バスの窓から柿の実が取れそうだったり。あ、庭の植物が違いますよね。シュロの木とか、こっちでは家の中の観葉植物なのに庭で育ってるのには衝撃でしたね。
花:今年なんか相当暑いみたいだし、もうバナナくらい、なるんじゃないですか?(笑)
編:(笑)バナナは向こうでは冬越しするんですか?
花:・・・私もここんとこ、とんと離れてるので関東のバナナ事情はわかりません。
<さすが北海道!その4・吹雪がこわい>
花:冬は吹雪で出かけられなくなったり、車の運転がこわいですよね。こっちに来て一年目のとき、むこうから友だちが遊びに来て、スキーに行く予定だったのが、吹雪いて行けなかったんですよ。
編:ありますよね。冬はほんと、吹雪くとね。
花:でも、こっちの人は道路が全然見えないのにびゅんびゅん飛ばしますよね、どうしてあんなに飛ばせるのか不思議!
編:私も走れませんけど、走れる人によれば「カンで走ってる」って言いますよ。
花:対向車が来たらどおするんですか!危ないですよ!
<さすが北海道!その5・公園で火を焚く人々>
花:あと驚いたのは、公園で火を焚いていいってことですね。(都心では)公園で火を焚くなんていっさい禁止ですから! そんな所で火を焚いたら消防法違反で連行されちゃいますよ。
編:・・・公園で火を焚く、というのは、どういう状況ですか?
花:ちょっと暖かくなってくると北海道の人ってすぐバーベキューコンロ持ってきて、肉焼くでしょう?
編:(笑)あ、焼き肉ね! しますね。湖畔とか、広場とか。
花:いえいえ、住宅街の普通の公園でもやってますよ。歴史の杜なんかでも。
編:え、そうですか。
花:北海道の人は、面倒臭がりやではないってことでしょうか? 私なんか道具とか持って行くとか面倒だもん。
編:え? 面倒だから焼き肉するんでは? 焼き肉道具一式はもう家にそろえてあるので、それを車に積んで、あとは肉買うだけだから。
花:あと、少し前までは学校の運動会で火を焚いてる家族がいたとか?
編:いましたいました! それこそほんとのジンギスカンやってましたね、昔。
花:それって、ちょっと考えられないです。
<さすが北海道!その6・北海道人は親切。ツンデレタイプ>
花:来た当時は北海道の人は親切だなって感激しましたね。東京なんかでは人が倒れてても誰も助けないとか、ありますからね。あれって何でしょうね。
編:いっぱい人がいるので誰かが助けるって思うのかも? こっちは人が少ないから自分が助けないと、と。
花:こっちに来て間もないころ、場所もよく分からず大滝の方に行ったんですが、いざ帰ろうとしたら、もうバスもなくて帰れなくなったんですよ。バスも1日数本しかないじゃないですか。そのときすぐに「送りますよ」とかって車で送ってくれました。考えてみると北海道の人って、ツンデレっぽいですよね。
編:ああ、一見ツンとしてるけどちょっと知り合うと優しい・・・ツンデレってモテるタイプですよね?
花:うん、やっぱりツンデレだね!
<さすが北海道!その7・自己防衛力が高い?>
花:毎日毎日、よく雪かきしますよね。草刈りも。「また草刈るのお?」って思いますよ。どうせ生えるんだから放っておけばいいのに。
編:私もそう思います・・・京都の人って几帳面だなと思ったことあるんですけど、それに比べて北海道人は大雑把で、いろんなことがどうでもいいと言うか、おおらかと言うか。そんなことは感じませんか?
花:いや、違うんじゃない? どうでもいいって言ってたら凍死するから。そういう意味では自己防衛力は高いと思いますよ。
編:自己防衛?・・・あ、だから毎日雪かきするんだ?草刈りも。イザというとき草ぼうぼうだとどこが崖かわからないし雪が積もってたら逃げられないから。
花:・・・?
<さすが北海道!その8・寒さにカナシミが>
編:花菱さんはもうすぐ本州へ戻るということですが、むこうの暑さに耐えられますかね?
花:どうでしょうねえ。なにしろ「怒りがわき上がって来る暑さ」だって言いますよ。
編:わあ、暑そう、怒りがねえ。ま、花菱さんは北海道の冬の寒さが苦手ということなので。
花:そうなんですよ。寒いのはねえ・・・怒りと言うより、カナシミがわいてくる・・・。
編:ああ、確かに! 寒いと悲しくなりますよね。寒いよ〜って、泣きたくなる。・・・では花菱さんはカナシミの寒さより、怒りの暑さの中で、これから生きていくんですねえ。
花:もう火の中に入っていくしかないですよね!(笑)
編:火に飛び込む虫のように!(笑)
花:長いあいだありがとうございました、北海道!
※記事の内容は取材時の情報に基づいています。(取材2013年)
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