むしゃなび特集/2005年12号/伊達市室蘭市を含む西胆振のポータルサイトむしゃなび

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■ むしゃなび特集 2005年12号 ■
有珠善光寺官寺設置200年記念特集 [2/4]
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有珠善光寺

 有珠善光寺は、1100年以上の歴史を持つ北海道最古の由緒あるお寺です。蝦夷地における和人の定着、先住民族アイヌの教化と法務活動を行うために徳川幕府が建立した、いわゆる蝦夷三官寺の一つです。
 古木の茂る広大な境内は桜の名所としても名高く、道内有数の名刹として親しまれています。中でも樹齢190年のエゾヤマザクラは、「石割り桜」と呼ばれ、北海道の記念保護樹に指定されています。

有珠善光寺
江戸時代の創建当時の雰囲気をよく伝える、貴重な建造物です。善光寺境内は、昭和49年(1974年)度, 史跡善光寺跡として、国の指定を受けています。
昭和58年(1983年)度から行われていた復元工事が完了しています。

 境内にある有珠郷土館では、
寺の歴史を伝える貴重な文化財を見ることができます。
 寺周辺が、善光寺自然公園として整備され、
面積約9.8ヘクタールの広大な敷地に、
桜の木を中心に60種、
2万本もの木が植えられています。
 遊具や、公園を一周できる遊歩道、
有珠湾を望む展望台などもあり、
ゆっくりと歴史と自然の散策が楽しめる、
道内有数の観光地となっています。

善光寺の由来

縁起
有珠善光寺の歴史は古く、1100年以上も昔、天長年間に慈覚大師が大臼山の嶺において修行した際、「信州善光寺 阿弥陀如来の顕現を拝し、その真容を彫刻して本尊となし、堂宇を建立されたのに創まる。」と伝えられています。

松前藩による再興
 松前家に伝えられる「新羅之記録」には、「慶長十八年(1613)に藩祖慶広公が夢のお告げにより松前藩の祈願所として再興した」と記されています。

江戸幕府による蝦夷三官寺時代
 後の文化元年(1804)、徳川十一代将軍家斉公が初めて蝦夷地を直轄するに及んで、翌年の文化2年(1805)に幕府の御用金をもって、官寺として建立しました。この時、新しく本堂・庫裏等が建設され、それまでの旧善光寺は地蔵堂となりました。東京芝増上寺の末寺として、同寺より住職が派遣されました。住職は江戸城では十万石の大名と同格の待遇とされました。同じく、様似に、等じゅ院(じゅは樹の字の木へんをさんずいにしたもの)、厚岸に、国泰寺が新たに建立され、これら三寺は蝦夷三官寺と呼ばれました。蝦夷地における和人の定着をはかり、先住民族アイヌの教化と法務活動を行うのが目的でした。当時は鎖国の世で、危惧されていたロシアの南下に備えるとともに、蝦夷キリシタンの普及を取り締まるためでもあったと言われています。



様似等じゅ院(様似町)

厚岸国泰寺(厚岸町)

有珠郷土館

 境内にある有珠郷土館には、釈迦如来大仏(道指定文化財)、円空上人の鉈作りの観音菩薩(同)などの文化財・宝物が数多く展示されています。

 中でも、釈迦如来像は鎌倉時代に製作されたもので嵯峨清涼寺に安置されている釈迦如来の伝模作の仏像です。また、円空上人は全国各地を放浪して数多くの鉈作りの仏像を残しており、その作品は、日本彫刻史上に特異な地位を築いています。

 その他にも郷土館では、徳川幕府から寄贈の一切経経典の一部など、約200点の歴史 を語る貴重な品々を展示しています。

・ 入館の際は、善光寺へ申し出てください。大人200円、高校生150円、小中学生100円

・ 10月8・9日のフォーラム期間中は無料

・10月9日(日)10:00〜14:00には有珠郷土館(重要文化財)解説の会が開催されます。


 有珠善光寺の 念仏上人子引歌版木
 当時、アイヌ民族教化のための、仏教の教えをアイヌ語訳した
歌の文句を印刷する版木で、極めて貴重なものです。今回国の重要文化財に指定されました。

華蔓


DATA
有珠善光寺
〒059-0151
北海道伊達市有珠町124
宗教法人大本願 善光寺
電話 : 0142-38-2007
FAX : 0142-38-2077


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