むしゃなび特集/2005年2月号/伊達市室蘭市を含む西胆振のポータルサイトむしゃなび

むしゃなび

■ むしゃなび特集 2005年2月号 ■
うつわやさんで見つけた「あったかくなるもの」 [4/6]
[4817]

作家物のうつわに古道具・小物のお店
古い家の中でゆったりとした時間を楽しんで



 とにかく落ち着く。古い家ならではのしんとした空間に、ぼ〜んぼ〜んと柱の大時計が鳴りひびく。えっもうこんな時間?と、きっと誰しも思うはず。素敵なうつわでおいしいコーヒーと和菓子をいただきながら、お座敷にぺったり座り込んでしまっていた。

 ここグースでは、作家ものの陶器、古い箪笥や文机に着物、古裂の袋ものやアクセサリーなどを扱っている。 伊達市大町の旧消防署の並びの古いおしょうゆ屋さんの建物(旧増岡家)の一階部分すべてがお店となっていて、古い建物ならではの味のある空間で、ゆっくりと素敵なものを手に取って選ぶことができる店。一室で、不定期に作家ものの展示会も開催していて、作り手に会えることもある。


「一人の作家と何年も」

 店主の岩佐美保子さんが、うつわが大好きで、自宅で3人の作家のうつわを扱う店「陶器の店 グース」を始めたのが13年前。その後、噴火のため伊達に移りお店を続けながら、古いおうちを探していたそう。岩佐さんの理想にぴったりの、今の旧家を紹介され2003年の夏にここにうつってきました。

 岩佐さんは「自分が好きなものをひとつひとつ選んで扱ってきました。自分が好きな人、使ってみたいと思う作品を選んでいます。仕入れにいくのが楽しみで」とゆっくりと話される。この人、と気に入った作家のところには、扱わせてほしいと何度でも手紙を書き、一度つきあいはじめたら、何年もつきあっていく。幾人もの器作家や、素朴なおんこの木のさじをつくる伊藤玲さんの作品もそのひとつ。荒削りだがつややかな形のスプーンはどれひとつとっても見飽きない。扱うほとんどの作家が道内在住で、自分の足下から本当にじっくりつきあっていくんだなと感じられた。例外はタイのチェンマイ。この一月にもタイ人女性のデザイナー、シリポーンさんのブランド「しりぽーん」の洋服を直接行って仕入れてきた。タイの手織り綿やバティックを使ったシンプルで上品なデザインで、あっという間に売り切れる。岩佐さんの確かな目は器以外にも広がっているようだ。

「つくり手と使う人とを橋渡し」

 「話すのが上手でなくて、、、」と言いながらも、器の作家たちのことになると、その出会いから、その作家たちの暮らし、生き方へと次々と話が及ぶ。「作品にはそのつくり手の人柄がでますからね」岩佐さんのお話を聞いているだけで、その作家たちの暮らしがすけて見えてくるようだった。

 「作家ものの器が初めてでしたら、ぜひ小さな花入れを試してみてほしい。そっと一輪野の花や草を生けるだけで素敵ですよ」とアドバイスしてくれた。「今は、器がなくて買いにくる人なんていないでしょう。お客さんも目がこえてきているし。そんななかで、あまり器に興味がなかったという方が、使ってみてよかった、とまた買いにきてくれるのは本当にうれしいです」

 作り手から、それを使う人の手に渡るまでの仲介役を、見事にこなす。作家たちにとっても幸せな出会いになっているのではと想像した。「お客さまには、あまり話し掛けないんです。静かにゆっくりとご自分で選んでいただきたいので」とおっしゃるが、みなさんには、ぜひぜひ気に入った作品の作り手たちのストーリーを聞きだしてみてほしい。

 陶器の店としてスタートしたグースも今では店鋪面積が広がり、骨董や小物、和装リフォームものなど扱う商品の種類も量も増えてきた。でもこのような作家達とのおつきあいの姿勢はずっと続いていきそうだ。



グースお勧めの
作家ものの器

 岩佐さんが、ひとつひとつうれしそうに説明をしながら、すりすり器をなでさすっている。けっしてほこりを払っているのではない。なんだかほほえましく、本当に器が好きなんだなあと思う瞬間だ。そんな岩佐さんに、ひとつあれば、ほっと心があたたまる。そういう器たちとその作家を紹介していただきました。

ケイト ポンフレットさんの器 由仁町在住イギリス人女性

 グースで今いちばん人気なのが、この人の作品。のびのびとした個性的な形に、書き落としで描かれたデザインが年齢を問わず支持されているそう。器だけでなく人形や陶板の壁掛けなどさまざまなアイテムがある。見ていると、にやりとほほえみがもれて、う〜ん、と大きくのびをしたくなる。


漠窯 岡田早苗さん
真狩町

 生き方、考え方、生活のしかた、そのすべてが岩佐さんのあこがれの女性なんです。と熱く語ってくれた。ひとつのマグカップにひとめぼれして、これだれがつくったの?と探し当て、以来ずっと好きという作家さん。野菜づくりや、織や染めからはじまる洋服づくりまで、すべて手作りという暮らし方にあこがれるとか。

 ケイトさん、漠窯さんともに使って楽しい、あるとうれしい、というタイプの器。個性的な形のものもあるけれど、以外と丈夫で壊れにくいというのは、岩佐さんの御墨付き。


 代わって次の2組は、一見地味だけど、つかってみてよさがわかる。どんどん好きになっていくというタイプの器。


NAM工房 恵波ひでおさん
虻田町

 岩佐さんが自宅で一番使っているというのがここのもの。とにかく使いやすく、開店当初からのおつきあいで、日常使いにはベスト!とひとこと。


七尾佳洋さん、詩子さん
厚沢部町

 ちょっと厚めの民窯もののような風貌。ご夫婦でそれぞれ作品をつくっている。黄釉ものは珍しいかも。私が一番注目した作家さん。3月14日からは展示会を行なうそうで楽しみ。

いずれもマグカップ2500円位から、中皿2000円位から、小さな花入れ3000円位から。

[耳より情報]
2月14日まで骨董、陶器2割引洋服3割引のセールを開催中です。皆さんぜひお出かけください。

SHOP DATA

グース
伊達市大町14番地
0142-22-1077
11:00〜17:00
火曜日定休

「武者なび」内 グース








《過去の特集を読む》