地元のお宝発掘!ミュージアム市民コレクションで『レースの技と美』開催中

だて歴史文化ミュージアムの一角に「市民コレクション」という展示スペースがあります。
マニアックなコレクションから渾身のアート作品まで、市民が収集・所蔵する自慢の品々が会期ごとに展示されています。

一般的な「趣味の作品展」とは一線を画し、ミュージアムの学芸員が監修を行っているのが注目すべきポイント。歴史やストーリーを丁寧に掘り起こし、家庭の「お宝」を見応えある展示へと演出しています。これまで、コカ・コーラのボトル、ウルトラマンフィギュア、コンサドーレ札幌の歴代ユニフォームといった珍しいコレクションの数々が披露されてきました。

この「市民コレクション」で3月1日より、『レースの技と美』展が始まりました。
伊達在住のハンドメイド愛好家、宮本さんと数又さんによる美しきレースの世界。
レースの発祥から現代に至る歴史を辿りながら、世界各地に伝わる様々な技法を紹介しています。

レースの発祥は紀元前と古く、16世紀ごろヨーロッパで大きく発展したと言われています。
編む、絡める、組む、縛るなど様々なテクニックがありますが、古典的な技法は大まかに、針で布をかがる「ニードルレース」と、糸を絡めて織り上げる「ボビンレース」に分類されます。

ニードルレースの一種、ドローン・ワーク。
布から糸を抜きとって作るレースで、非常に古い技法のひとつ。もともと穴の空いた布を繕う目的で始まったものが、装飾へと発展したといわれています。布の素朴な風合いを幾何学的な美しさが引き立てています。

何本もの糸を絡めて織り上げるボビンレース。デザインが複雑なほど、ボビンの数も多くなり工程も複雑になるそう。立体感のある仕上がりと緻密で繊細な風合いがとてもきれいです。

最近ハンドメイドショップなどでよく見かける「マクラメ」もレースの一種。
古典的な技法の中には廃れてしまっているものも多く、学ぶのも難しいのだとか。展示にあたっては洋書など様々な資料を参考に、古典から現代に至るまでのレースを制作したそうです。

ハンドメイドを通じて仲良くなった数又さん(左)と宮本さん(右)。宮本さんはilo(舟岡町)、数又さんはリトルチェアにそれぞれ布小物などを出品しています。昨年、鹿島町の手芸店「チャイ夢」が閉店となった時に店を訪れた宮本さんは、レース関連のいろいろな道具を見つけ、様々なレースの技法を知るきっかけになったそう。それが今回の展示につながっています。
レース編みを始めたのは共に小学生の頃、というお二人にレースの魅力を聞きました。

宮本さん「子供の頃からレースは身近なものでした。昔よく電話機にレースをかけたりとか、暮らしの中に当たり前にありましたよね。私の母もレース編みをしていました。それほど身近だったものが実は奥深いということを、今回の展示を通して知っていただけたらと思います」

宮本さんが娘さんの結婚式用にと編んだヴェール。今どきの若者にはクラシックすぎたのでしょうか、実際の式ではつけなかったそうですが、一度でいいからかぶってみたい!と思わせる大作。

数又さん「一本の糸からカタチになるところがレース編みの面白さです。小学生の頃、始めて編んだパイナップルレースを近所のおばあちゃんにプレゼントしました。亡くなってから遺品の中からそのレースが出てきて、大切にしてくれていたんだなあ、と嬉しかったことが思い出深いです」

数又さんの力作、ボビンレース。右の作品は特に複雑で大変だったそう。繊細で美しい、見事な仕上がりです

歴史や技法を知ることで興味が湧き、作品を見る目も変わります。
ひと目ひと目に織る人の思いが宿っているような温かさを感じました。日本には「背守り」など古来から伝わる魔除けの刺繍がありますが、縫い物や編み物にはどこか、作り手の祈りやエネルギーがこもっているような気がします。

このほか会場では、制作の様子を紹介した動画の上映や、アンティークレースに関するパネルコーナーもあり。中世のヨーロッパでは王侯貴族の富と権力の象徴だったという、レースの歴史の重要な部分を知ることができます。
それから伊達市の市章をレースにした作品が必見。渋くて素敵でした!

会期中にはワークショップも開催予定。また展示作品は7月ごろ販売会を予定しています。ぜひ足を運んでみてください。

レースの技と美
2022年3月1日(火)〜5月29日(日)
だて歴史文化ミュージアム1階 市民コレクション
9時〜17時(月曜休館)

今回は、レースの魅力を知ると共に、「市民コレクション」の魅力も発見することができました。
街の人が大切に集めたり制作した品々を学芸員がプロデュースし、見応えある展示として演出する。まさに市民とミュージアムが一緒につくる小さな展覧会です。説明書のパネルなど非常にきれいで見やすく、楽しんで観てもらうための工夫が随所に施されており、内容も充実していて驚きました。

「とてもやりがいがあります」と担当学芸員の蝦名さんは笑顔で話していました。
出品者にとっては、人に見てもらうこと自体が大きな喜びですが、新たな視点から客観的に自分のコレクションを眺められるというメリットもあるようです。小さなスペースながら奥深く、ローカルな魅力満載の「市民コレクション」。まだまだいろんな可能性が広がりそうなコーナーです。自分のコレクションや作品を展示してみたい、という方はミュージアムにご相談ください。

だて歴史文化ミュージアム
北海道伊達市梅本町57-1
TEL 0142-25-1056

2階特別展示室では恒例の「亘理伊達家のお雛様展」を開催中。
今年の目玉は総数700枚の貝合わせ。お雛様と一緒に嫁入り道具として持ち込まれた品々だということですが、圧巻の見応えです。お雛様たちの時を超えた存在感も、本当にすごいです。
こちらは3月27日まで。レース展と合わせてお楽しみください。

詳細は公式ホームページをご覧ください。
https://www.city.date.hokkaido.jp/funkawan/detail/00005480.html


※記事の内容は取材時の情報に基づいています(取材2022年)

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