■映画
山田洋次『小さいおうち』
タキが犯した小さな罪は、きっと誰にも裁けない。
ストーリー:健史(妻夫木聡)の親類であった、
タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。
それは晩年のタキがつづっていた自叙伝であった。
昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)
は、東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな
屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働く。
そこには、主人である雅樹(片岡孝太郎)と
美しい年下の妻・時子(松たか子)、
二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。
穏やかな彼らの生活を見つめていたタキだが、
板倉(吉岡秀隆)という青年に時子の心が
揺れていることに気付く。
ストーリーだけを追うと、
「ある家庭で起こった小さな不倫騒動の物語」と
シンプルに言い換えることができますが、
その心の移り変わりや人間模様がとてもリアルに
描かれており、一般的には称賛されるようなものでは
ない不倫行為ですが、なぜそう想うに至ったかの
流れに同意はできないまでも、共感はできるのでは
ないでしょうか。
・・・・
・・・・
・・・・
タキが平井家で女中をしていた時間。それは、
人生で一番幸せだった時間。
健史にタキが、ふと漏らしたコトバが
胸に刺さります。
「私、長く生きすぎたの」