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[2012.09.18]
■ 「 KAMAKA 蘇生プロジェクト 」 Report 18 ( 総括前編 " 原因 ” )  
おそらく・・・・ 
 
 
これからの人生において、もう二度と経験できないことだったろうと思います。 


これだけバラバラになった KAMAKA 、しかも 40 年も前にハワイで生まれたウクレレが、再び私の前に現われるとは、到底思えません。 
 
まず、このウクレレを預かって、一番最初に感じたことは、 
 
驚きと共に 「 どうして、こんなにバラバラになったか ? 」 ということでした。 
 
 
物理的に大きな衝撃が加わったとは思えません。 
 
 
なぜなら、長年、弾き込まれた、いわゆる 「 弾き傷 」 はたくさんありましたし、何かにぶつけた小さな 「 打痕 」 もたくさんありましたが、「 致命的な原因 」 となった打撃などの跡はどこにも見当たりませんでした。 
 
板の表面はどこも、塗装以外は実に良く保存された状態でした。 
 
 
ある意味では、 40 年も経っているのに、全体的には 「 とても大切に扱われたウクレレ 」 だと思います。 
 
 
 
では、なぜこれほどに・・・ 
 
 
私が思うのは 「 温度環境 」 がひとつ大きな原因だろうと考えます。 
 
 
例えば、夏の炎天下中で 「 自動車の中 」 に放置すると、 50 ℃超にもなるという車内温度でウクレレは一発で大きなダメージを受けます。 
 
車内ではなくても、長い期間、直射日光を浴びる場所や、室温が高くなる部屋にあって、温度によるダメージを受けたのかもしれません。 
 
 
余談ですが・・・ 
 
冬季間は車中が低温のため、放置されて冷え切ったウクレレを屋内に持ち込むと、あっと言う間に結露して、しばらく使い物にならなくなります。 
 
特に冬の北海道は外気温と室内気温の差が、比較的温暖と言われるこの伊達市ですら、厳寒期には 30 ℃以上にも及ぶので要注意・・・いや厳重注意です。 
 
これは冬季間にネット購入でウクレレを購入した経験によるもので、以来、冬に宅配などで届く場合、私は梱包されたまま玄関フード→玄関内→廊下→湿度の低い部屋の順にインターバルをとりながら室温に慣らすようにしています。 
 
とにかく、楽器は季節を問わず 「 車内放置 」 は厳禁 ! 絶対にダメです ! 
( 運転中で空調管理がされているならば心配ないでしょう ) 
 
 
 
 
次に思ったのが 「 湿度環境 」 。 
 
かなり以前、このブログでお話ししましたが、北海道の冬季の暖房で、パネルヒーター等は室内を相当な乾燥状態にしてしまいます。 
 
我が家も暖房は全室パネルヒーターなので、冬季間は楽器やネコや住人、いわんや家のためのも加湿器が 24 時間フル稼働します。 
 
木は湿度が 40 % を下回ると、自身の水分を放出してしまうと言われ、そうなると収縮や歪みが出るようですし、ときにはそれが材の割れや凹みに直結します。 
 
薄い材で出来ている楽器なら、尚のこと影響甚大でしょう。 
 
何となく 「 ハワイは空気がカラッと乾燥しているから、ウクレレも乾燥には強いだろう 」 と思われがちですが、ホノルルの年平均湿度は 60 % 強だそうです。 
 
では北海道は?  こちらは 70 % 弱。 
 
意外と、湿度はそれほど大きな差はない。 
 
つまり、このカマカが生まれたところの湿度は、いま居る北海道の湿度と大きな差はなく過ごし易い環境にいるということになります。 
 
 
もちろん過度に高湿度状態もダメージを与えるでしょう。 
 
 
保管の状態は詳しくはわかりませんが、いずれかの季節において、湿度によるダメージが大きかった可能性もあります。 
 
 
 
 
そして、考えられる最後の要素。 
 
 
「 If you make instruments and use the family name, don't make junk. 」 
 
創業者である サミュエル.K.カマカさんの遺訓を頑なに守り続けるカマカ社がクオリティを重要視していることに疑いの余地はありません。 
 
しかし、この Ukulele が作られた当時のカマカの職人さん様子あるいは作業工程で、たまたま生じた何らかの不具合の可能性が全くないとは言えません。 
 
そう思わせるのが 「 きれいに剥がれたトップとバックの板 」 の状態でした。 
 
 
40 年前にカマカ社がどんな接着剤を使っていたかはわかりません。 
 
 
果たして接着作業の工程に何か不具合がなかったか? 
 
いまとなっては知るすべはありませんが・・・ 
 
 
 
以上、すべては 「 推測 」 の域を出ませんが、これらが遠因となって複合的に影響したのかもしれません。 
 
 
 
いずれにしても・・・・ 
 
わずか 1 mm チョイの木の板で作られる楽器はとてもデリケートなわけです。 
 
したがって、大きな力が加わらなくても、ウクレレにとって小さな不都合が積み重なって、この状態になった・・・と、思っています。 
 
 
これからウクレレやほかの楽器を扱う方もどうぞ 「 保管の場所や方法 」 にはくれぐれもご注意ください。 
 
 
格言 
 
「 ネコや人間が過ごしやすい環境は、ウクレレにも快適な環境 
 ネコや人間に辛い環境は、ウクレレにも辛い環境 」 
 

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