■おやきおじさん
今日はファーム453の営業日です。
暑さ続きで酵母がだれてしまい、
酸味が抜けなくてぱんの仕込みが出来なかったので、
沢山戴いたズッキーニを使って久しぶりにおやきを焼きました。
直売所についておやきを持って車から降りると、
ちょうど向かってこられるご夫婦の姿が見えました。
「こんにちは。いらっしゃいませ」
と挨拶して店に入り納品していると、ご夫婦も中に入ってこられました。
「このおやきはいくら?」
とご夫婦の旦那様がレジの方に聞いている声が耳に入りました。
レジの方が150円ですと答えると、
「中身は同じ?」と質問されました。
「どれもズッキーニのおやきでおなじです」とお答えすると、レジの方が、
「この方がずっとおやきを買いに来ていた人だよ」
と教えてくれました。
え!!!
この方が!
去年から、直売所のレジ担当の方々にうわさされていた、「おやきおじさん」
毎週必ずと言っていいほどおやきを二つ買いに来てくれ、誰からともなく「おやきおじさん」と呼ばれるようになったお客様がいるという話を聞いていたのです。
「最近おやきおじさん来ないね、」とか、
「この前おやきないのって聞かれたよ」とか、
ひんぱんにおやきおじさんの名前を聞くたび、
いつかお会いしたいなあと思っていたのです。
一年越しに偶然お会いできたおやきおじさんに、
初めてお会いするのに思わず
「(おやきの)作者です。いつもうちのおやきがお世話になって居ります」などとつい冗談を言ってしまうくらい、心の中では親しみがあったのでした。
お孫さんもいらっしゃるかな、と見受けられる感じのおやきおじさんは、わたしをみて、
「最近おやきがなくて」
とおっしゃいました。
大滝の野菜で作るお焼きは、夏がメインで冬はあまり作らず、この夏は忙しかったのもありぱんだけの納品が多く、おやきは先週から焼き始めたばかりでした。
おやきのなかったことをわびると、おやきおじさんはてに2つ、3つとおやきを取り、結局6つも籠に入れて下さいました。
それから少し談笑し、おやきおじさんご夫妻はお帰りになられましたが、とても嬉しい出会いでした。
自分の作る物を、こんなに心待ちにしていてくださる方がいる。
作り手にとって、これは本当に光栄なことです。
ちょうど昨日も、市街地に配達に行き、委託店にちょうど見えられたお客様と話していて、うちのオレンジピールのファンでいらっしゃることが分かり、ひとしきりオレンジピール談義で盛り上がって、季節商品なので来年になるけれどまた作りますねと約束し、お客さまもとても喜んで下さった事があったばかりで、二日続きで同じような話をいただき、ありがたさが倍増でした。
ぱんの酵母は未だ粘りが強く、酸味もありますが、
ぱんに仕込めないほどではなさそうです。
発酵器もなく、温度管理も自然にと始めたてんねんやは、季節によって味が変わったり、その時にしかないものがあったりします。
それを理解し、楽しんでくれるお客様との出会いが、てんねんやをずっと支えてくれています。
10年たっても、ずっと繋がっているご縁というのは、
本当に素晴らしく、ありがたいものだと感じました。
近くの方も、遠くの方も、
今会える方も、もう会えない方も、
皆さまどうもありがとうございます。
今日の一枚はこちら
早朝の美しいうろこ雲。
この青、地球の色ですね。
皆さま今日もよき日をお過ごしください^^