■即身仏
即身仏って聞いたことありますかね? よくTVや雑誌に「日本のミイラ」ということで坊主の格好をして紹介される「アレ」が即身仏す・・・。確かに姿形はミイラなんだけど・・・
即身仏はミイラとはまったくの「別物」なんですって。
ミイラの国といえば、皆さんエジプトや中国が思い当たりますよね?
古代エジプトのファラオのミイラって有名だしね・・・。実は古代エジプトにはアヌビスの書(死者の書)っていう書物があったらしいの・・・。
それには『人間は肉体が滅んでも魂は永遠だから、魂は肉体を求めナイル川を上ってくる。そのとき、自分の肉体がないと、死霊は怒りナイル川を氾濫させる・・・』等の呪いや怨霊・怨念が信じられていたようで、日本も平安時代なんかはそうだったでしょう?
そのための国の機関が陰陽寮だったのね。
そこの長が阿部清明だった・・・。
話が脱線したけど、古代エジプトではその怨念や呪いを抑えるために盛んにミイラを造るようになった・・。
まずは盛大なお葬式をやってその後、死体に処理を施した・・・。
そして鼻孔から鉄の棒を突っ込み、そこから脳みそをぬき、お腹を切って内臓を取りだして・・・当然、死体とはいえ腐るので、その死体にミラールなる香油を防腐剤として塗ったようなのね。
そのミラールっていう香油の名前からミイラって言葉が造語としてうまれたようなの・・。
英語だと思っている方も多いと思うけど、英語だとミイラのことマミーていうんですよ。

ミイラのこと熱心に書いてしまったけど、即身仏とミイラでは決定的な違いがある。
それは即身仏にX線をかけると、脳みそも内臓も写る・・・。
どういう事か?っていうと、生きたままあの姿になった って言う事なのね。
死体に処理を施したのと明らかに違うでしょう?
即身仏は山形県出羽三山の中の湯殿山がメッカだったらしく、現在でもこの山形県庄内といわれる地方には、6体の即身仏が現存され奉られてる。他にも新潟や京都、福島にも残っている。
なぜ生きたまま仏になったのか?高野山の開祖、空海が説いた即身成仏の教えが色濃いんだけど自らの人柱の状態になってこの土地を救おうとした人たちがいたようなのね・・。
この辺は昔はえらい冷えた土地だったそうなの。結構昔にNHKで「おしん」ってやってたでしょ?
冷害でなかなか作物が育たない・・・
あの話、この地方の話だしね。
その上、江戸時代にはいると一気に天保享保のききんがやってきて、ますます農民、庶民のくらしはひさんになる。
芥川龍之介の『羅生門』っていう小説読んだことがある方は解かると思うけど、その中で死体をバリバリ食ってる婆さんが出てくる・・。そんな事もこの地方にはまかり通りくらいだったらしい。当然治水も悪いから伝染病が蔓延するのに、庄内藩の藩主は年貢をガンガン取り立てたような時代にこの人たちを救ってやろうと思い、自ら生き仏として即身仏を志した行者さんたちがいた・・・。
(次回へつづく・・・)