■呪われし宝石
宝石の輝きというのは太古の昔から人を魅了させる力があったようで、パワーを与えてくれる物と信じられたり、お守りとして用いられた形跡がある…。古くバビロニアの時代では宝石を太陽や月等の天体の星々の輝きや力を凝縮したものと考えられていたらしく、それを身につけるとどんな邪悪も追い払い、幸せになれると信じられていた…。また、アレクサンダー大王は護身用として常に「クリプソレース」という石を身につけていたし、十字軍の兵士の間では「ガーネット」や「アメジスト」は病気や怪我を退ける!として好んで、お守りにもしたそうです…。現代でもパワーストーンと称して身につける方も多いですしね…。
確かに宝石には不思議な力が宿りやすい反面、魂や霊的な作用も入りやすいようで、並外れた大きな宝石ほど欲望の対象として人の目に晒される事も多いため、不思議なその傾向も強いようです…。
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカのスミソニアン自然史博物館に、深い青を湛えた1個のダイヤモンドが保管されている…。ホープダイヤと言われる45キャラットほどのこのダイヤは、奇妙な事に歴代の持ち主を次々と不幸に陥れ、血を吸い続けた呪いのダイヤとして有名です。
17世紀末のフランスの探検家タベルニエは、インドを探検した際、ベーガンという都市に立ち寄った…。そこでとある寺院に安置されているラマ・シータという仏像に目を奪われる…。仏像の額の白亳(びゃくごう)と呼ばれる部分に、吸い込まれるような青い色の宝石が埋め込まれていたのだ!タベルニエはこの宝石に魅入られるようになり、気づいた時は像の額から宝石をもぎ取り、手のヒラに握り締め盗み出していた…。
故郷に戻ったタベルニエは王宮に参上し、ルイ14世に青い宝石を見せた…。宝石は類稀なダイヤモンドであった!一目でそのダイヤに魅せられたルイ14世は、タベルニエに貴族の称号と多額の褒美を与えてダイヤを譲らせた…。
タベルニエはこの後ロシアに旅立ったが、草原を行く途中、飢えたオオカミの群れに行く手を阻まれた…。オオカミの牙がノドに食い込むのを感じながら、タベルニエは宝石をもぎ取った後の、ラマ・シータの像の虚ろなまなざし思い出していたかも知れない…。
一方、ダイヤを受け取ったルイ14世は石をハート型にカットさせ、”フレンチ・ブルー”と名付け家宝にしたんですが、その後を継いだルイ15世は、業病として恐れられていた天然痘で命を落とし、その後手にしたルイ16世の妻、マリー・アントワネットも、よくご存知のようにギロチン台の露と消えるのは周知の通りである…。
フランス革命のドサクサで行方不明になっていたその青いダイヤが、再びその姿を現したのはイギリスで、銀行家のヘンリー・トマス・ホープが買い取ったので、それ以降「ホープ・ダイヤ」と呼ばれるようになった…。ところが、ホープも例外ではなく、ダイヤを手にしてからすぐにホープの銀行は傾きはじめ、ホープの死後、倒産する。
次にダイヤを手にしたのはロシアの貴族。彼の愛人は青いダイヤを手にして間もなく射殺され、その貴族も謎の死をとげる。ダイヤは更にトルコの王室に引き取られたが、これも間もなく1922年に革命が起こり、トルコの王室は解体!ホープ・ダイヤは再び海を渡る…。
アメリカのオークションに現れたダイヤは、ワシントンの富豪マクリーン家に買い取られる。マクリーン家もダイヤの呪いから逃れる事は出来ず、子息の事故死、令嬢の自殺、そして当主も精神を病んだすえの死が襲っている…。最終的にホープ・ダイヤを手にしたのは、アメリカの宝石王ウィンストンであった!彼は、ほんの少しの間、広告に使っただけで、すぐさまスミソニアン自然史博物館に寄贈してしまう…。ウィンストンは「コリャやばい!」と思った出来事があった事は確実で、手放すしか方法がなかったのも察しが付くのではないだろうか…?
こうして博物館に納められてから呪いは収まっているが、このホープ・ダイヤは結局、12人の命を奪ったとされている…。ただ気になるのは元々、70カラット以上あったとされるこのダイヤ、加工する段階で半分近くになってしまっている…。という事は、残りのカットされたダイヤは今でも、ひっそりと残っているという事で…。
このホープ・ダイヤの他にもハプスブルグ家の「コーイ・ヌーイ」ナポレオンの「リージェント・ダイヤ」ロマノフ王朝の「オルロフ・ダイヤ」等が呪われた宝石と言われています。
もう少しで、ホワイト・デイですよね…。宝石好きの女性の方!大きく高価な宝石を彼や旦那にねだるのは止めましょう!彼のためにもあなたのためにもね…。(笑)