■牛

もし「牛は神様の使い」なんてイメージが強い方は、今年素晴らしい1年を過ごせるかも知れませんね…。
実は、太古の昔から”牛は神様の使い”として奉られて来た動物なんですって!中近東や東南アジアでは、現在でも本当の意味で、貴重な家畜として飼われていますもんね…。だから、ある所なんて、本当の祝い事や神事にしか、牛を食さないって場所も多い訳ですよ。
だから!っちゅう訳でもないんだけど、洋の東・西に問わず、牛の神話って他の動物に比べて、異常なくらい多いですよね?星座に牡牛座があるように、ギリシャ神話でも牛の神話が多く残されていますもんね…。万能の神・ゼウスが目をつけた美女エウローペ…彼は万能の神の割には、結構悪名も高かったようで、このままの姿であれば、逃げられてしまうかも?と思ったらしい…そこで、真っ白い牛に姿を変え、「エウローペさん、エウローペさん!私の乗ってみませんか?私は逞しく、早いですよ…」って言った…何を思ったのかそのエウローペも「乗ってみましょうかしら…」なんて軽く考え、乗った途端!ゼウスが姿を変えたその牛は彼女を乗せたままそのまま走り去り、クレタ島という所に連れて行き、隠匿させ3人の子供を産ませる…最初に生まれた子は、後にミノス王と名乗ったんだけど、自分の父親が牛だったから、彼は牛を崇拝し、神と崇めるのさ…まして、上半身が牛で下半身が人間のミノタウロスなんちゅう怪物の迷路話も有名ですよね…。
キリスト教以前の宗教で、古代ペルシャ・ローマ帝国を中心に広まっていたミトラ教という宗派をご存知だろうか?かなり大きな宗教だったようで、ミトラ教の本尊は「黄金の牛」で出来ていた!何で牛だったのかは、勉強不足でちょっと解らないんだけど、五穀豊穣・幸を与える神とされていた。「十戒」という映画で、モーゼが十戒を持って帰って来た時、モーゼはもう帰らないのでは?と不安になった人々が、黄金の牛の像を祀り上げるシーンが出て来るんだけど、あれがミトラ教の本尊なのね…。もし、キリスト教が世界に広がらずにいたら、このミトラ教が全世界を支配していただろう!という学者もいるくらいで…。
当然、日本にも牛の神話や話は多くて、十二支の話は当然だけど、「赤ベコ」という民芸品をご存知でしょうか?福島県の会津地方の首をピコピコ揺らす民芸品ですよね…。この赤ベコの伝説は、会津地方の柳津という所に、徳一大師という偉いお坊さんが、虚空蔵菩薩を奉るための”菊光堂”というお堂を建立する際、どこからともなく現われた赤い牛が、大木の運搬等を手伝ったそうです。ところが、そのお堂が出来上がると、赤い牛は忽然と姿を消し、虚空蔵菩薩さまが、使わした牛だ!という訳で、今でも「赤ベコ」として残ったとされているようです。
私はよだれをダラダラたらした間抜けな顔の牛しか見た事がないので、どこが尊い動物なのかは解りませんが、牛がのんびり草を食むように、何事もない平和な1年になるよう、願いを込めて…。