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2024/11/20(水) - 観光・体験
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上海からの金融レディーたち
昨年の11月。 中国人と思われる女性から2名で1泊の予約が入った。 中国人からの予約は珍しい。 中国では日本で通用する国際免許証を取れないので 通常は個人旅行でレンタカーで周る人が少ない。 昨今はいろんな手で免許を手に入れるらしいが・・・ 「車で来るんだろうから、 今は日本に住んでいる人かなあ・・・ どんな人だろうか。」 なんとなく、初めての中国人を迎えるのに緊張した。 中国には大昔、出張で何回か行ったことがあるが、 上海には行ったことがない。 聞くところによると東京よりもずっと大きく近代的な都市らしい。 人口2千5百万人の上海は、 アヘン戦争後にヨーロッパ列強国の租界が設置されたので 食文化も含めて欧州文化が息づいているらしい。 そんな大都市から、豊浦町の片田舎に何しに来るのか? チェックイン時間の夕方になると、メッセージで連絡がきた。 「近くにいるけどGoogle Mapで教えて欲しい。」 とのことだった。 「え?どこにいるんですか?」とマップリンクを 送るが、返答がない。 夜の8時を過ぎていた。 まだ来ないかなと思って、 近くのコンビニまで車で買い物をしてその帰り、 道すがら、アジア系の二人がスーツケースを引きずって 駅からの道をとぼとぼと歩いているのを見かけた。 駅からゲストハウスは歩いて7-8分である。 「あれ?まさか?」 豊浦町でスーツケースを引きずって 歩いている人は見たことがない。 ちょっと暗くてよく見えなかったが、 間違いない。 あの人たちだと思った。 しかし急に声かけするのも変かなと思い、 そのまま横目で見ながら通り過ぎ、 家で知らぬ顔して到着を待つことにした。 しばらくして彼女たちが着いた。 女性2名である。 これまでかわしていたメッセージは中国語であったが、 彼女たちはきれいな英語を話した。 30代前半くらいの女性たちだ。 宿帳に職業も記入してもらうのだが、 二人とも「金融関係」とあった。 しかし車で来ないゲストは初めてだ。 車がなくてどういう行動をするのだろう。 しかも1泊である。 ゲストハウスの中を案内してから どういうプランなのかを聞いてみた。 「中国は国際免許証を取れないのです。 車だったらもっと沢山のところを見られるのに。」 と残念がっていた。 「それでなぜわざわざこんな不便な 田舎に来たのですか?」 と尋ねた。 ゲストに来た理由などを聞くと今後の参考にもなる。 すると、 「私たちは毎日大都会でストレスのかたまりに なっています。どこか自然のあるところでゆっくりしたいと 思って北海道の田舎に来ました。昨日は登別温泉で 温泉に入ってとてもよかったです。」 ということだった。 なるほど。 大都会から癒されに来たのね・・・・ しかし僕の中には違和感がある。 自分には30年40年遅れた中国のイメージしかないわけで それが日本に逆に癒されに来たというわけだから。 参ったな。 どうやらこの30年間で日本は世界に置いていかれたらしい。 ところで明日の予定はどうするのか? 「洞爺湖に行こうと思ってます。ここからバスは何時にありますか?」 そう言われてなんか可哀想に思えたので 「明日朝、洞爺湖まで送りますよ。」と言ったら とても喜んでくれた。 次の日、 洞爺湖までの15分間の車中での会話が弾んだ。 中国の政治の話などはしない方がいいのかなと思いつつ、 結構その話題や教育の問題などで盛り上がったのだ。 別れ際、彼女たちは 「今度はもっとゆっくり過ごせるように来たいです。」と 言ってくれた。 大都市の金融の世界で揉まれて帰ったら毎日が大変だろう。 バックミラー越しにいつまでも手を振っている彼女たちをみて 上海に戻ってもストレスに負けずに元気でやってほしいな。 僕はそう思った。
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