■「オーディオメーカーがアジア生産で失ったもの」
済みません。ブログ別館で結構反響があるのでこちらにも転記しておきます。
オヤジになったので,ジジネタを・・・(寒。活字多数ですので関心のない方はスルーしてください・・・。
「オーディオメーカーがアジア生産で失ったもの」。
などと仰々しいタイトル。ご本人に気の毒なので,リンクは避けておくが,別ブログでかわいそうな経験談が載せられていた。
ブログ主は,JBL(アメリカの老舗スピーカーブランド。カリフォルニアが本拠地)のファンで,机上のパソコンで音楽を聴くために,小型のスピーカーを購入された。
JBLは今も昔もオーディオファンには憧れのブランドであり,ちょっとがんばれば手に入る価格設定もなかなかの魅力である。
さてさて,ブログ主がJBL製品を購入する際に決まって行なう「儀式」がある。
製品が届く。
窓を閉める。
姿勢と呼吸を整える。
静かに開封する。
開封して箱の中から出てくる「カリフォルニアの風」を吸引する。
というもの。
もっぱら中古品ばかりを購入するわたしは,せいぜい他県の風しか味わえないので,
こういうことをしていないが,
この方のお気持ちはよく分かる。
わたしも直輸でCDを購入して届いたら,何となくそんなことを感じていたりする。
さて,この話には,若干かわいそうな結末があった。
彼は開封して「カリフォルニアの風」を吸い,満足感に浸った。
しかし,箱には「MADE IN CHINA」の文字が。
スピーカー自体にも「MADE IN CHINA」の文字が刻まれていた・・・。
彼が感じたその風は「カリフォルニア」ではなく「中国のどこか」の風だったのだ。
かわいそうな話だが,彼は気を取り直し,音をチェックする。
音はまぎれもないJBLの音だったようだ。
読んでいたわたしも若干救われた気持ちになった。
ここでわたしの使っているJBLのスピーカー 4302をご紹介。10年以上前のモデルである。
ブルーバッフル,ホワイトコーン,ウォールナット仕上げと典型的なJBLの特徴を備えていながら,
「assembled in China」と書かれている。
つまり,部品はアメリカ本国から調達し,組み立ては中国で行なっているというもの。
今や世界中の人件費の高騰により,生産拠点はアジアに移った感がある。
合理主義のアメリカ人は,今や本国製のものよりもアジア製のもののほうが壊れにくく,
メンテナンスも楽なため,同じ製品で,本国製とアジア製のものがあれば,躊躇なくアジア製を選ぶ人が多いようだ。
確かに以前のJBLはアメリカ製のものは半田の仕上げなどが粗雑で,
恐らく世界一完璧を求める日本のユーザーのために,
日本で組み立てられていた製品も多かったようだ。
「assembled in Japan」である。
今のJBLについて言うとプロフェッショナルモデルの43シリーズのかなり高額なものまで,
「MADE IN CHINA」になっているようだ。つまり部品調達も中国でしているようだ。
ここで勘違いしないでいただきたいのは「中国製」がいけないといっているわけではない。
我が家のJBLも大変良い音で鳴っており,特に大好きなジャズとの相性は抜群である。
まあほとんど偏見は持っていないつもりだ。
かなりの長文になってしまったが,わたしが心配していることをまとめると,
1,まず,アメリカ製=ジャズに合う=音が良いと信じている人を失望させるかも知れないということ。オーディオにはプラシーボ効果も含めてこういう思い込みは夢につながり,ブランドイメージは大切な要素のように思える。
2,「本物と同じ物」(流出横流しも含めて)が,価格や価値を下げるのでは,ということ。わたしはマレーシアに3年間暮らしていたが,JBLのスピーカーは,町のオーディオショップでも扱われており,「本物」と「偽物」,そして「本物と同じ物」が堂々と売られていた。
英国のオーディオ・ブランドのQUAD,KEF,B&W,TANNOYなんかも同じであった。やっかいなのは「本物と同じ物」である。これは,本物の部品が流出して,別の工場で組み立てられ,それが流通し,格安に売られているということである。購入の意志を示し,値切ると店主は決まって,倉庫の奥から,オリジナルの箱に入っていない「本物と同じ物」を持ってきて,平然と「セイム・クオリティ」などと言う。わたしの駄耳なので信頼性が薄いが,同じ環境で,「本物」と「本物と同じ物」をアンプのSP端子ABに繋いでもらい,聞き比べたが,違いが全く分からなかった。某オクなどを注意して見ていると,先に挙げた4社,特に先頭2社は,中国や韓国からの直輸入品が,送料込みで日本の定価の3分の一以下で出回っているようである。物も海外郵便,FEDEXなどで直接届く。音はかなり良いらしい。これが「本物」か「本物と同じ物」かは分からないが,全くの無保証であることを考えるまでもなく,注意や良識のある判断が必要かも知れない。
3,これは日本でも生じているが,海外生産にシフトすると,本国で失業者が溢れる。溢れると,せっかくの顧客が貧乏になるわけで,消費者不在という現象も生じ得る。実際,アメリカは先の見えない不景気に飲み込まれた状態になっている。JBLはこの状況を憂慮し,中国撤退を検討しているようだ。だが今さら撤退をしても,流出してしまった貴重な技術,ノウハウまで回収できるわけではない。事実中国でも優秀なオーディオメーカーが多数誕生している。本国生産にスイッチすると,品質が低下する上に価格を上げなければならず,という状況が生じるかも知れない。JBLのカリフォルニア工場は2年ほど前に閉鎖され,メキシコに移っているはずだから,今後どのように収拾を図るか,注目しなければならない。
個人的は,JBLの箱を開けるとアメリカのワイルドな風,英国メーカーの箱を空けると英国のノーブルな風・・・が出てくることを願ってやまない。
・・・・済みません。ナマイキなことをだらだらと書いてしまいました。
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