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[2012.05.20]
■「オーディオメーカーがアジア生産で失ったもの」

済みません。ブログ別館で結構反響があるのでこちらにも転記しておきます。

オヤジになったので,ジジネタを・・・(寒。 
活字多数ですので関心のない方はスルーしてください・・・。 
 

「オーディオメーカーがアジア生産で失ったもの」。

などと仰々しいタイトル。 


ご本人に気の毒なので,リンクは避けておくが,別ブログでかわいそうな経験談が載せられていた。 
ブログ主は,JBL(アメリカの老舗スピーカーブランド。カリフォルニアが本拠地)のファンで,机上のパソコンで音楽を聴くために,小型のスピーカーを購入された。 
JBLは今も昔もオーディオファンには憧れのブランドであり,ちょっとがんばれば手に入る価格設定もなかなかの魅力である。 
さてさて,ブログ主がJBL製品を購入する際に決まって行なう「儀式」がある。 
製品が届く。 
窓を閉める。 
姿勢と呼吸を整える。 
静かに開封する。 
開封して箱の中から出てくる「カリフォルニアの風」を吸引する。 
というもの。 
もっぱら中古品ばかりを購入するわたしは,せいぜい他県の風しか味わえないので, 
こういうことをしていないが, 
この方のお気持ちはよく分かる。 
わたしも直輸でCDを購入して届いたら,何となくそんなことを感じていたりする。 
さて,この話には,若干かわいそうな結末があった。 
彼は開封して「カリフォルニアの風」を吸い,満足感に浸った。 
しかし,箱には「MADE IN CHINA」の文字が。 
スピーカー自体にも「MADE IN CHINA」の文字が刻まれていた・・・。 
彼が感じたその風は「カリフォルニア」ではなく「中国のどこか」の風だったのだ。 
かわいそうな話だが,彼は気を取り直し,音をチェックする。 
音はまぎれもないJBLの音だったようだ。 
読んでいたわたしも若干救われた気持ちになった。 
 
ここでわたしの使っているJBLのスピーカー 4302をご紹介。10年以上前のモデルである。 
ブルーバッフル,ホワイトコーン,ウォールナット仕上げと典型的なJBLの特徴を備えていながら, 
「assembled in China」と書かれている。 
つまり,部品はアメリカ本国から調達し,組み立ては中国で行なっているというもの。 
 
今や世界中の人件費の高騰により,生産拠点はアジアに移った感がある。 
合理主義のアメリカ人は,今や本国製のものよりもアジア製のもののほうが壊れにくく, 
メンテナンスも楽なため,同じ製品で,本国製とアジア製のものがあれば,躊躇なくアジア製を選ぶ人が多いようだ。 
確かに以前のJBLはアメリカ製のものは半田の仕上げなどが粗雑で, 
恐らく世界一完璧を求める日本のユーザーのために, 
日本で組み立てられていた製品も多かったようだ。 
「assembled in Japan」である。 
今のJBLについて言うとプロフェッショナルモデルの43シリーズのかなり高額なものまで, 
「MADE IN CHINA」になっているようだ。つまり部品調達も中国でしているようだ。 
 
ここで勘違いしないでいただきたいのは「中国製」がいけないといっているわけではない。 
我が家のJBLも大変良い音で鳴っており,特に大好きなジャズとの相性は抜群である。 
まあほとんど偏見は持っていないつもりだ。 
 
かなりの長文になってしまったが,わたしが心配していることをまとめると, 
 
1,まず,アメリカ製=ジャズに合う=音が良いと信じている人を失望させるかも知れないということ。オーディオにはプラシーボ効果も含めてこういう思い込みは夢につながり,ブランドイメージは大切な要素のように思える。 
 
2,「本物と同じ物」(流出横流しも含めて)が,価格や価値を下げるのでは,ということ。わたしはマレーシアに3年間暮らしていたが,JBLのスピーカーは,町のオーディオショップでも扱われており,「本物」と「偽物」,そして「本物と同じ物」が堂々と売られていた。 
英国のオーディオ・ブランドのQUAD,KEF,B&W,TANNOYなんかも同じであった。やっかいなのは「本物と同じ物」である。これは,本物の部品が流出して,別の工場で組み立てられ,それが流通し,格安に売られているということである。購入の意志を示し,値切ると店主は決まって,倉庫の奥から,オリジナルの箱に入っていない「本物と同じ物」を持ってきて,平然と「セイム・クオリティ」などと言う。わたしの駄耳なので信頼性が薄いが,同じ環境で,「本物」と「本物と同じ物」をアンプのSP端子ABに繋いでもらい,聞き比べたが,違いが全く分からなかった。某オクなどを注意して見ていると,先に挙げた4社,特に先頭2社は,中国や韓国からの直輸入品が,送料込みで日本の定価の3分の一以下で出回っているようである。物も海外郵便,FEDEXなどで直接届く。音はかなり良いらしい。これが「本物」か「本物と同じ物」かは分からないが,全くの無保証であることを考えるまでもなく,注意や良識のある判断が必要かも知れない。 
 
3,これは日本でも生じているが,海外生産にシフトすると,本国で失業者が溢れる。溢れると,せっかくの顧客が貧乏になるわけで,消費者不在という現象も生じ得る。実際,アメリカは先の見えない不景気に飲み込まれた状態になっている。JBLはこの状況を憂慮し,中国撤退を検討しているようだ。だが今さら撤退をしても,流出してしまった貴重な技術,ノウハウまで回収できるわけではない。事実中国でも優秀なオーディオメーカーが多数誕生している。本国生産にスイッチすると,品質が低下する上に価格を上げなければならず,という状況が生じるかも知れない。JBLのカリフォルニア工場は2年ほど前に閉鎖され,メキシコに移っているはずだから,今後どのように収拾を図るか,注目しなければならない。 
 
個人的は,JBLの箱を開けるとアメリカのワイルドな風,英国メーカーの箱を空けると英国のノーブルな風・・・が出てくることを願ってやまない。 
 
・・・・済みません。ナマイキなことをだらだらと書いてしまいました。 
 

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中国足心道足揉み伊達療術院
中国足心道足揉み伊達療術院

わたしのプロフィールです。

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昭和40年,豊浦に生まれる。

幼少時代を大滝,伊達,室蘭で過ごす。

神奈川,札幌で,印刷,デザイン関係の仕事に従事。

平成13年,健康の大切さに目覚め,中国足心道療術院会員となる。

その後,マレーシアにて3年間居住,マッサージの修行。

帰国後,再び当地に開院。

 

唯一無二の趣味は音楽。

2011年,知る人ぞ知る(知らない人はだ~れも知らない)夭逝のジャズ・ピアニスト,ソニー・クラークの完全コレクションを達成する。

 

上の写真はソニー・クラークの歴史的な名盤「クール・ストラッティン」(1958年)。

ジャズ喫茶華やかかりし頃,このレコードが掛からない日はなかったことでしょう。

「クール・ストラッティン」とは英語で「気取って歩く」,「軽やかに歩く」と言う意味があります。

皆様がこの女性のように町を軽やかに歩けることを願いつつ,わたしは一生懸命皆様の足を今日も揉み続けます。

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