■バッハの名曲に偶然遭遇!(試聴できます)。
この間の日曜日,車で出かけて,何気なくFMを聴いていると, おお!
という演奏に遭遇しました。この番組です。
「名演奏ライブラリー−ピアノ界の貴公子 ディヌ・リパッティ−」。
途中から始まる(というか聴いた),
バッハの「パルティータ」です。
切々とこちらの心に切り込んでくるような演奏です。
でもねちっこくなく,きりっと締まっています。
「ディヌ・リパッティ」という名前は聞いたことがありましたが,
SP時代の名手という感じで,
音の悪さを予想し,
聴いたことがありませんでした。
音の悪いライブ録音でしたが,
音楽の芯はきちんとこちらに伝わります。
帰宅して早々にAMAZONで探すと,
「1円」(送料手数料込みで341円)でスタジオ録音を発見しました!
デジタル最初期,1988年発売の輸入盤です。
イギリスのアビーロードスタジオでのリマスターが施されています。
一昨日,到着して,「足揉み」中にかけると,
これまであまりクラシックに反応のなかったお客様たちも,
「いい演奏ですねぇ」
「いいご趣味ですねぇ」
「癒されました」
「素晴らしい」
との反応がありました。
心配していた古い録音にあるヒスノイズも全然気にならないレベルです。
(1円で心配するな~)。
やはり名演奏は,時代を超えて素晴らしいのですね。
慌ててウィキペデアで調べると,
リパッティは1950年の12月に,33歳の若さで血液の難病で亡くなったとのこと。
この演奏も50年7月,40度以上の熱があるところを,
医師の制止を振り切って,解熱剤を打ち,
強引に録音したとの事です。
この方には全然詳しくないのですが,
CD化されているバッハの「パルティータ」は,
このCDのスタジオ録音や複数のライブ音源を含め,
亡くなる1950年に集中しています。
死を覚悟したリパッティの生きたいという気持ちや達観が演奏に表れているのかも知れません。
日本人の悪いところで,先日のゴーストライター問題のように,
「難病,早世,不幸な生い立ち」
を音楽に加味して聞く傾向にあるので,
注意が必要ですが,
この演奏は,それを抜きにしても心を打ちます。