■マンションに住むということ(2)
マンション生活というのは、良いことばかりではない。 このマンションはかなり出来が良いそうだが、それでも時には音が聞こえる。部屋の両サイドの音は全く聞こえない。
引越して暫くしてから、気が付いた。
夜中に天井から、ドシンという音がするのである。
2段ベッドの上から、誰かが飛び降りているような音だ。

女房は『上の部屋に言いに行こうか?』、と言う。
でも、夜中に2段ベッドから飛び降りるような家庭じゃ、かなり非常識な人かもしれないので、しばらく様子を見ることにした。
ところが、ある日の折り込みチラシを見たら、上の階のその問題の部屋が売りに出ていた。
そこで、『もうすぐ引越して出て行くから、我慢しよう』ということになった。

ところが、売り値が高いのか、なかなか売れない。
だから、上からの音も引き続き起きていた。
そこで我慢の限度となり、管理会社に相談してみた。
すると、すぐに我が家の上の階の3部屋くらいに、ご注意が書かれた紙が入れられた。
それでも全く状況が変らないので、再度、管理会社に相談した。今度は赤字で書かれた紙となった。
そして、その夜を待った。

2回目のご注意でやっと気が付いたのか、それ以来、音は止んだ。
ご注意の紙には、「本書面は該当住戸が分からない中での投函であることを、予めご了承下さい」と書いてあった。
私には該当住戸が分かっているのだが、住民間のトラブルにならないように、管理会社も気を使っているのである。
マンションに住むということは、こういう覚悟も必要なのである。

(おまけの話)
マンションと一戸建て住宅の決定的な違いがある。
各部屋の中に、火災用のスプリンクラーがあることである。
我が家には数えてみたら、15ヶ所にスプリンクラーがあった。
このスプリンクラーというのは、火災時に熱を感じると、自動的に制御弁が溶けて放水を始めるようになっている。
一度、放水を始めたら、水が無くなるまで放水を続ける。

そうなれば、多分、下の階の他人の部屋も水浸しになる。
間違えてスプリンクラーに何かぶつけても、スプリンクラーは作動を始めてしまう。そうなったら、もう止まらない。
そんなことがあるので、我が家では誰かが長い物を手に持った時は、『スプリンクラー!』と叫ぶようになった。