■ゴジラと地蔵尊
昨年の東日本大震災から1年が経った。 3月10日にここへ越して来て、翌日の11日に大震災に遭った。
だから私にとっては3月11日は特別な日で、忘れようがない。
被災した東北の人達に私も以前からなにかしたいと考えていて、私なりに寄付やマイクロファイナンスでの支援など、出来るだけのことはして来た。

そんな時に私の通う仏像彫刻教室で、先生から提案があり、「仏像を彫って、被災地へプレゼントしよう」ということになった。
1人3体の地蔵尊を彫り、それを薬師寺の別院である潮来の潮音寺で魂を入れてもらい現地に送るということになった。

私も3体を彫ることにした。
今回は希望者が多く、全部で210体になると聞いた。
仏像は木曽ヒノキで、小さめの稚児をイメージした地蔵尊である。
私の彫った地蔵尊が、どこかの見知らぬ被災者の手に渡ると思うと、身が引き締まる思いだ。
ところで、ゴジラである。
自分で選んだ題材であるが、これが難しい。
日比谷の広場にあるゴジラを撮影して、それをモデルに彫っている。

尻尾、首、両手などは材料の関係で、貼り合わせにした。
すると材料の木目の違いや、色の違いが目立ってしまい、なんだか亀のような感じになってしまった。
先生も仏像ではないので指導のしようがなく、『まあ、いいんじゃないですかー』としか言えない。
変な物に取り掛ってしまったことを、今は後悔している。

(おまけの話)
仏像彫刻はただの趣味である。
だから人に見せる為に彫っているのではない。
でも、我が家に誰か来ると、見せたくなる。
見せられれば、その人はお世辞でも褒めないわけにはいかない。
どう褒めていいか分からないので、先ずは「凄いですねー」と言う。
そして次の言葉に詰まる。
なぜなら、そこに宗教的なものを感じるからだろう。
変な質問をして、個人の信心の話になることを避けているのだろう。

宗教とは関係なく彫る、ということが分からないのだろうと思う。
最近は有名なお寺の秘宝の仏像を公開する例が増えた。
お寺が金儲けに走っているのか?、或いは日本人の心に響く仏像を公開して、「世の中はお金だけじゃないよ」と、知らせたいのかもしれない。
どちらにしても、日本の文化が廃れていく中で、JRじゃないが、「ディスカバー・ジャパン」は良いことである
