■築地市場で不況を知る
久し振りに築地市場に買い物に行った。 以前は女房が料理研究家をしていたので、たまに運転手で行っていた。
伊達での生活はコテージなので、台所が満足でなく、女房は料理をあまりしなかった。
でも、東京に戻り家の台所を使うようになると、しっかり料理をしたくなるもののようだ。
『出来ないとなると、したくなる』というのは、なんでも共通のようだ。
朝の9時だというのに、高速道路はあまり混んでいない。
道路の混雑状態で伊達に行く前から東京の景気が悪いのが分っていたが、それが今回のサブプライム問題で更に道路が空いて来たように感じる。
1時間15分で築地市場に到着する。
今までは2時間かかっていた。
お馴染みの鰹節店『秋山商店』の女将は、『外国人観光客が多いのだが、言葉が分からず売りたくても売れない』と嘆いている。女房は他にも場外市場で買い物があるので、私は別れて市場観察に行く。
私はテリー伊藤の実家である丸武で玉子焼きを買う。
500円也。
場外市場は外国人観光客と日本人観光客で溢れている。
商売人が仕入れに来ている様子はあまり感じられない。
ここは、いまや観光名所となってしまい、商売人は来ないのかもしれない。
場内市場に行ってみる。
こちらも既に商いは終ったのか、片付けに入っている。
ターレーが行き交い、危なくて歩いてもいられない昔の活気は感じられない。
これが豊洲に移転してしまったら観光客も来なくなるので、更に売上が落ちるのじゃないかと人ごとながら心配である。
私は今のままの築地市場の雰囲気が好きだ。
だから、私は移転に反対である。
(おまけの話)
買い物を終った女房との待ち合わ場所である魚河岸場内への入口にある橋の袂に行く。遠くから女房を見るとすると、なにやら若いカップルに右手を上げて方向を示し、場所の説明をしているように見える。
近寄って行くと、どうやらそのカップルは日本人ではないらしい。
女房の話では、男性の方が『すみません』と言って来たので、『なんですか?』と答えたら、それきり話が出来ず、日本人でないと分かった。
男性が引っ込み、連れの女性が英語で聞いて来たので、大和寿司のお店を教えているんだけど、場所がはっきりしないので、大体の方向を教えていたと言う。
そこで、彼らに聞いてみたら、『韓国のプサンから来た』と言う。そして、韓国語のガイドブックを見せてくれた。
そこには築地の場内の大和寿司が出ていて、赤線が引いてあった。
時間もあったので私が彼らを寿司屋の前まで案内した。
すると、そこには驚くべき光景があった。
店の入り口から30人くらいの人が並んで待っている。
彼らもそれに加わった。
いまや伝統ある魚河岸も、外国人観光客なしには成り立たないのか?
築地で景気の良いのは、『玉子焼きの丸武』と、『大和寿司』だけじゃないか?