■♪秋の夜長はクラシックで(2)~「のだめ」で知られたあの曲(試聴付)。
かなり涼しくなってきましたので, 音楽鑑賞の持って来いの季節となりました。
(特に暑がりの私には…)。
今日はベートーヴェンの交響曲の名演を紹介したいと思います。
ベートーヴェンというと,
「英雄」,「運命」,「田園」,「合唱」と,
タイトルの付けられた曲が良く聞かれますが,
「あまのじゃく」のわたしは,名前のない4番と7番が子供の頃から好きでした。
(何というかわいくない子供…)。
ですが,アニメで「のだめカンタービレ」が始まり,
突如として人気が出たのが,
ベートーヴェンの交響曲第7番です。
一昨年,去年は日本中の演奏会でこの曲が取り上げられました。
この7番の名演と言えば,カルロス・クライバー(1930-2004)指揮,ウィーン・フィルハーモニーのスタジオ録音盤が有名です。
このカルロス・クライバーという指揮者は,
わたしと同様,いや同列にすると恐縮ですが,
「あまのじゃく」の代表格的な指揮者です。
まず,指揮者という仕事を自ら選んだにも関わらず,
ドタキャン多数,録音嫌い,またレパートリーが極端に狭いので有名です。
交響曲第4番のCDジャケットの
解説では,彼自身,「録音はホラー(恐怖)だ」と明言しています。
また,コンサートでも,ホールのモニター用にステージ上にぶら下がっているマイクを撤去しないと,
リハーサルすら拒否をしたという逸話も残っています。ちなみに撤去に手間取ったので,彼は激怒して帰宅し,その日のコンサートはキャンセルとなりました。(実際,彼の演奏に限らず,このぶら下がったマイクから録音されたものが流出し,海賊盤で多数出回っています)。
彼はウィーン・フィル恒例のニュー・イヤー・コンサートを,1989年と1992年に指揮していますが,
キャンセルを恐れた主催者側は,本来は収録しない,
ニュー・イヤー・コンサート前日に行なわれる,
オーストリアの軍関係者を招待して行なわれる
「ジルベスター・コンサート」を(キャンセルに備えての予備のため)カメラリハーサルとして録画するという念の入れようでした。
ですので,彼のコンサートはいつもチケット完売,
彼がステージに登場しただけで拍手が鳴り止まず,
それを無視して,彼が指揮棒を振り下ろすというのが,恒例となっています。
話が逸れました。交響曲第7番は,
「舞踏の聖化」と呼ばれており,
そのリズミカルな旋律は,一度聴いたら忘れられない…と個人的には思っています。
と言うわけで,クライバーの指揮も,
さながら上級の社交ダンスのような流麗な姿です。
来日公演の様子をYOUTUBEで見ることができます。 ちなみにこの日の演奏会はカーテン・コールがいつまでも鳴り止まず,
演奏会終了後,楽団員がいなくなった舞台にクライバー一人現れ,舞台下で聴衆一人一人と握手するというサプライズがあったとのこと。
そういう演奏会に行ってみたいものです。
彼のベートーヴェンの交響曲のレパートリーは,
4,5番「運命」,7番の3曲のみで,晩年は,
4,7番しか演奏しませんでしたが,
彼の人間らしさを感じさせる1枚のCDがあります。
恐らく彼の人生の中で唯一と思われる,6番「田園」を演奏した際の83年のライブ盤です。
これは,彼の息子さんに「誕生日におまえの好きな曲を演奏してやる」と言ったところ,
てっきりレパートリーの中から言われると思ったら,
この「田園」だったということです。
慌ててウィーンの図書館で,ベートーヴェンの直筆譜を研究し,コンサートに臨んだとのこと。
「天才」,「カリスマ」と呼ばれ,ふらっとステージに現れ,気ままに得意の曲を演奏しているようなイメージが彼にはありましたが,
実は自分の納得した曲を,万全の環境でしか演奏しない,できないという,彼の「生真面目さ」が現れたエピソードです。
このCDも息子さんが大事に持っていたカセットテープから,
録音が20年を経て発売されたものです。
音質はイマイチですが,クライバーの人間臭さを感じる名演です。
7番と合わせて探してみてください。
アマゾンで入手可能です。
他にも,録音嫌いだったにも関わらず,ツアーの際には,お忍びで各国のレコードショップを訪れ,
自身の海賊盤や,同じ録音嫌いの指揮者たちの海賊盤を購入し,コレクションしていたというチャーミングな?一面も持ち合わせています。
済みません。長くなってしまいました…。
《業務?連絡》
こちらにはあまり仕事のことは書きたくなかったのですが,最近,足の「冷え」と「むくみ」の症状を訴える方が続出しています。あまりに多いので,「関連情報」に詳しくその原因や対処などについて書きました。関心のある方はご覧になってみてください。「関連情報」はこちらから。