■秩父人の人情
秩父34札所巡礼の旅の3回目である。 西武秩父駅から3分の秩父鉄道の御花畑駅に歩いて行く。今日の最初のお寺は29番札所の長泉院である。
御花畑駅ではホームが向こう側にもあるので、駅員に聞いた。『浦山口駅に行くのですが、どちらのホームですか?』
駅員は『ここです』と言った。
御花畑駅(秩父鉄道) 向こう側にもホームがある。
ホームに入って来た電車に乗り、2駅目の目的地で降りる。すると様子が変だ。「大野原駅」と書いてある。
改札口に居たたった1人の駅員兼駅長に聞いた。
私 『ここは浦山口駅じゃないんですか?』
駅長 『よく間違える人がいるんですよ。御花畑駅では向い側のホームは西武線のホームで、秩父鉄道は上下線とも同じホームに電車が来ます。それを知らずに反対方面に来てしまう観光客が多いんです』
30番札所 (法雲寺)
そんなこと地元民以外は知らないんだから、乗る前に御花畑の駅員は親切に教えてくれるべきだ。
今回は、出だしからすっかり嫌な気分となった。
1時間にたった1本しか電車が来ない路線なんだから、お陰で今日の予定は大きく変更となった。
32番札所 (法性寺)
その後、30番、32番札所を巡り、夕方から再度、29番札所に向う。暗くなりかけた長泉院で納経を済ませて、浦山口駅に戻る。
次の電車までには30分の待ち時間なので、ホームのベンチで待つ。すると、そこへ駅長が『寒いですからお茶をどうぞ』と言ってお盆を持って現れた。
これには驚いたし、感激した。こんな経験は初めてだ。
朝一番の御花畑駅の嫌な思いはスッカリ消えてしまい、秩父鉄道が好きになってしまった。
29番札所 (長泉院)
(おまけの話)
巡礼の旅に同行のY君に私は聞いた。
私、 『今日はクリスマスイブなのに、家に居なくていいのか?』
Y君、『家を留守にするので、息子の家族と娘の家族それぞれにケンタッキーフライド・チキンのパーティ用パックを手配してから家を出て来た』。
ジイちゃんは孫に甘い。特にY君はおお甘である。
それなのに、そのジイちゃんは私と2人で八王子のデパートの食堂街で寂しくうなぎを食べている。
秩父巡礼
ジイちゃんなんてものは、「お金だけ出して家に居ない」ということが息子の嫁さんに喜ばれる秘訣だと思う。
でもお金が無くなったら、ジイちゃんはどうすればいんだろう?
ジイちゃんはというのは、悲しい生き物なのである。