■早や半世紀
半世紀というとかなり長い。 昔は「人生 わずか50年」と言っていたのだから、人の一生の時間と同じである。
その半世紀くらい前に私はニューヨークに住んでいた。
ニューヨークで開催されたNY世界博覧会の日本館で、日本から派遣されて劇場付きレストランで働いていたのである。
表参道 (原宿方面を見る)
一緒に行った仲間は、今でもみんな仲良くお付き合いをしている。
そんな中のバスボーイを中心とした12名が北青山のレストラン「クレヨンハウス」に集った。
落合恵子がオーナーのクレヨンハウス
みんな引退している中で、バリバリの現役はA君ただ1人である。
私は以前に彼に、『引き際が大事だよ。最近の経済人には晩節を汚す人が多いが、あなたはそうならないようにね』と言っておいたのが、かなり気になっていたらしい。
地下に降りるお洒落な螺旋階段
今回久し振りに会ったら、『やっと業績も上向き、株価も一時の3倍になったので、やっと引き際に来たようだ』と言っていた。
良かった。これで晩節を汚さないですみそうだ。
みんなとの話はお決まりの昔話に始まり、最近は体の不調の話を通り越して、介護の話から、遂に今回はお墓の話まで飛躍してしまった。
来年はニューヨークに行ってから50周年になるそうで、盛大なパーティをやりたいところだが、果たして何人がこの世にいるだろうか?
お店の中 (オーガニック料理を出す)
この日が私の古希の誕生日に当るので、幹事が私の為に大きなケーキを注文しておいてくれた。
でも、みんなはワインをガブガブ飲むので、ケーキまでは到達せず、帰りに私は持たされてしまった。
みんなは仲間がオーナーの銀座の老舗バーの「ダンボ」に行ったが、私は家でのお誕生日祝いが待っているので、先に帰った。
家に戻ったら、女房の買った美味しそうなケーキがあった。
クレヨンハウスの古希祝いケーキ
(おまけの話)
私がアメリカに居た頃には、豊かだったアメリカ人が私に親切にしてくれた。
そのお返しをしようと思っていたが、結婚して子供が生まれて、少し落ち着いた頃から外国人留学生を家で預かるようになった。
10年間くらいは続けたので、15人くらいは預かった。
その中にアメリカ人留学生のMという男の子がいた。
彼は非常に真面目なのは良いのだが、モルモン教徒であった。
私は宗教には偏見は無いが、モルモン教徒の戒律には困った。
表参道のグッチ (場違いなオヤジが何を見ている?)
刺激のある食べ物は一切口にしてはいけないのである。
コーヒー、カレー、コーラ、香辛料なでは駄目なので、女房は食事を作るのに苦労した。
そのMが1年の滞在をして帰って行く時のことである。
『このような素晴らしい家にホームステイ出来たことは、幸運だった。
モルモンの神に感謝します』と言ったのである。
そうじゃないだろー!
我が家に感謝すべきだろうー。
宗教に凝り固まると、こういうことになるから困るのである。