■落ち武者が行く
武者祭本番の日の8月3日がやって来た。 メインイベントは武者行列である。
ところが今回は雨の中だ。
鎧兜姿の侍達が500名近く行列して、町の中を進んで行く。
私はこの祭を6年前に見た時は驚いた。
『こんな凄い祭がこんなところで行われているのかー!』と思った。武者祭は日本の誇る祭になれると思った。
だが、町の人達は毎年、同じ行列を見ているので驚かない。更に1年で最も暑い日に行われる祭りなので、年々出演してくれる人が減って来ている。
私の場合も、2年連続で出演したが、それで止めている。
一番の問題は暑さで、2番目はマンネリである。
日本中で色々な祭が行われていると思う。毎年、同じだと思う。マンネリをどう打破しているのか知りたい。
私のアイディアは観光客を呼び込み、祭に出演させることである。
観光客は毎年、違う人が来るので、マンネリにならない。
この町のこんな素晴らしい祭を観光に使っていないのは勿体ない。
今年も義理や会社の命令で出演したらしい侍達が生憎の雨の中を死にそうな顔をして、ダラダラと行進して行く。
出発地点から既に落ち武者のように見えるから可笑しい。
最終地点のカルチャーセンターの広場では『凱旋の儀』というのがあるが、落ち武者ばかりじゃ凱旋とはほど遠い。
(おまけの話)
2年前に私は大将役で馬に乗ってこの祭りに出場した。
馬の背から見下ろす風景は気分がいい。
だが、この祭りの開催される1週間だけが伊達市で一番暑い時期である。
武者祭が終ると、もう暑い日は殆どなくなり、秋が近付く。
2年前に大将役で出た後のことを思い出した。
ある日、馬を曳いて畦道を歩いて行った。
その時、前方の馬が暴れてバックした。危うく蹴られるところだった。また進む。そうしたら、また暴れた。
この時は避け切れず蹴られて転倒して、崖の下に転げ落ちた。
そして、『目が覚めた』。夢だったのである。
だが、その時にベッドから勢いよく板張りの床に落ちた為に、肩の骨を骨折してしまった。
お陰で、その夏はゴルフもしないでコテージで過ごすという羽目になってしまった。
東京は暑いので帰ることも出来なかった。