■田圃の上をホタルが舞う
子供の頃にホタルを見たことがあるような気がするが、定かではない。 かなり前からホタルは日本でもあまり見られない昆虫となっている。多くの人はテレビや本などで見て、それで見た気になっている。
そんな中でイコロ農園では本物のホタルが見られる。
それも珍しいことに、田圃の上を平家ホタルが飛び交うのである。ここでは7月後半から8月中旬まで、ホタル観賞が楽しめる。
数年前からイコロ農園の水源となっている池に伊達信用金庫の協力で、毎年ホタルの幼虫を数百匹も放流している。
そして、この時期になるとホタルは田んぼの上を舞い踊る。
そのホタルをイコロ農園では、8月1日から15日まで一般に公開して、誰でも見られるようにしている。
私と女房は当番で6~8日の3日間をホタルのガイドとしてイコロ農園に夜の9時まで滞在している。
コテージでは台所が狭すぎて料理が出来ないので、久し振りに広いイコロ農園の台所で女房が料理の腕を揮うことになった。
折角の機会だからと色々な人を食事に招くので、ホタル当番というよりは、食事当番になっている。
ホタルが飛ぶかどうかは、その時になってみないと分からない。ただ、毎年の経験から判断して、ある法則が分かってきた。
ホタルは夏の湿気の多い、雨の後の空気がどんよりと重い夜によく出る。
よく考えたら、この条件は幽霊の出る条件と全く同じだと分かった。ホタルと幽霊は親戚かもしれない。
(おまけの話)
マレーシアのクアラルンプールの郊外に世界的に有名なホタルのクリスマスツリーがある。
川の両側の木立の枝に大量のホタルがとまって、暗くなるとそれがまるでクリスマスツリーのように見えるのである。
これを見た時は驚いた。
日本のホタルと違い明るいし、その数が凄い。
まるでネオンのようだ。
小舟に乗って静かに観賞するのであるが、暑さと湿気で参る。
その時に着用を義務付けられたライフジャケットが観光客の積もり積もった汗で臭くて参ったのをよく覚えている。
『たまには洗濯してくれー』と言いたかった。
イコロ農園にやって来たレタス農家のSさんにホタルの話をしたら、Sさんのオヤジさんはホタルのクリスマスツリーを見たと言う。
色々と話を聞いてみたら驚くことに、このオヤジさんは世界中を旅している。
もの分かりの良いオヤジだと思っていたが、やはり外国をよく知っているようなオヤジは考え方も古くない。
ただそうなると、頑固オヤジが少なくなってしまうのが寂しい。