■ホタルが終り直会を
この町へ来て『直会』という言葉を聞いた時はなんだか判らなかった。 その言葉の響きはなにか高貴な香りがした。さすがに武士が開いた町だと感心した。それにしてはみんな大した時でもないのに使っている。
『今日のゴルフの後の直会は寿司屋の文七だよ』なんて使う。漢字では直会と書いて、『なおらい』と読む。
その意味は関東で言う『打ち上げ会』のことであった。
『橋本さん、15日でホタルの一般公開も終るので、直会をしましょう』と、イコロ農園のTさんから言われた。
8月1日から15日までイコロ農園の田んぼに飛んでいるホタルを一般に公開して、みんなで楽しむ催しをしていた。
午後7時から9時までの2時間を公開しているのだが、その為には留守番とガイドが必要となる。
直会の参加者はTさんの家族と当番をしてくれた壮瞥町のIさんと私、そしてTさんの息子さんの友人と、あまり関係ない人達の12人であった。
人が集まればバーベキューである。
肉、魚、野菜を山ほど焼いて食べる。フォークシンガーの女性がギターで歌う。
Tさんは『明るい農村』の前掛けをしてサービスする。
9時を過ぎて帰る人が出て来る。
私は帯状疱疹の病人なので早目に帰りたかったが、Iさんが帰らないので帰り難い。
やっと9時30分を過ぎてIさんが『帰ります』と言うので席を立つ。
みんなが帰ってからTさんや奥さんが後片付けをするのだろう。なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
Tさん、いつもありがとう。
(おまけの話)
6日、7日、8日は私のホタル当番だった。
その時は滞在中はいつも外食をしている私の女房が、『なにか美味しい物を作る』と言った。
1日目のメイン料理はビーフシチュー、2日目はラザニア、3日目は餃子だった。その時々に色々な人達が夕食を共にした。
3日目の餃子の時にSさんを招くことにして、早朝にメールを入れた。
『夕食に餃子を作ります。食べに来るなら携帯電話にメールを下さい』。私は農作業をして、午後4時にコテージに戻り風呂に入ってから出直しをした。その時までにSさんから返事は無かった。
そこでTさん家族、Iさん、Kさん夫妻と楽しく餃子を食べた。
翌日になって携帯電話を確認したら、『餃子は大好きです。何時に行ったらいいですか?』というメールが入っていた。
その時間は前日の午後5時だった。
実は私は風呂に入った後に、服を着替えたら、携帯電話を置き忘れてイコロ農園に来てしまったのだった。
携帯の不携帯である。
Sさんには悪いことをしてしまった。でも、連絡をくれたのが5時じゃ大食漢のSさんが来ると分かっても間に合わなかったと思っている。
私が東京に帰る日までにSさんには餃子をご馳走しなければならない。