■蛇のいる秘湯に行く
東京から来た友人達が去り、少し静かになった。 ところが休む間もなく、その翌日に秘湯巡りの旅を計画していた。
市内のTさん、Hさん、Sさん、そしてただ1人の女性参加者のCさんと私の5人で温泉に行った。
今回もHさんが企画したもので、薬師温泉と鯉川温泉に行った。彼はなかなかの温泉通で、私が東京で主宰している秘湯研究会のメンバーにしたいくらいだ。
9時に伊達市を出発して、先ずは蘭越の薬師温泉に行く。
車を停めて建物を見ると、かなりくたびれている様子が覗える。300円を支払い、風呂場に向かう。透明な湯と濁り湯の2種類がある。
脱衣所で服を脱いでいたら、隣からCさんの叫び声が聞こえた。何を言っているのかは分からないが、どうも蛇という単語が聞こえたような気がした。
元柔道家の体格の良いSさんは、『俺は駄目だ』と言って、助けに行こうともしない。
仕方なく私が腰にバスタオルを巻いた姿で助っ人に行く。
女性の脱衣所の入口付近に蛇がクネクネと動いている。
長さは1メートル以上はありそうだ。
毒蛇かもしれないと思い、係のオバちゃんを呼んで片付けてもらう。
オバちゃんは箒と塵取りを持って駆け付けて来て、蛇を掴んで窓から外に放り出す作戦のようだ。
ところが、そのオバちゃんは、なんと私の足元で蛇を取り落とす。私は焦った。
オバちゃんはなんとか捕まえて窓から出した。
風呂場から出て来ないSさんは、『もう嫌だ』とばかりに、もう1つの濁り湯には行かなかった。
ここのお湯は炭酸を含んでいるらしく、胸まである深さの風呂の足元からブクブクと泡が湧いて来る。
足元からお湯が湧いて来る珍しい天然温泉であった。
そんな山奥の秘湯では、蛇も出てなんら不思議ではない。
蛇からは逃げまくっていたSさんであったが、昼飯に食べたジンギスカンでは逃げることなく、1人で3人前は食べただろうと私は睨んでいる。
(おまけの話)
薬師温泉の後は鯉川温泉に行った、ここは『日本秘湯を守る会』のメンバーにもなっている正しい、清潔な天然掛け流し温泉であった。
その後、食事をして、美術館で絵画を見て、京極の湧水で名物のコロッケを食べてと、俗っぽい観光客となる。
連休の中日のせいか、俗世界の観光地はどこでも混んでいる。
北海道は人が少ないと思っていたが、田舎の観光地で駐車場に入れないという経験を初めてした。
夕方5時に伊達に戻ったが、Tさんはカボチャの収穫が気になっている。
そこで私も腹を空かせる為にカボチャの収穫を手伝う。
1時間も掛けて96個のカボチャを採ってハウスに運んだら、汗びっしょりとなってしまった。
今日の企画はどうやら逆のようで、カボチャの収穫を終えてから温泉に行く方が良かったのでは・・・・。