■大黒さまとコロラドプラトーの間で
私が仏像の話を書くと、それは読むのをパスされるであろうと思っている。 更に、今までに私から『仏像彫刻をやりませんか?』と誘って、それに応えてくれた人は誰も居ない。
『まだいい』とか、『仏像ねー』と答をはぐらかす人が殆どである。
多分、なんと答えていいのか分からないというのが本音であろう。6年前までの私でも同じように答えた筈である。
それが今では、2月にハワイで、9月には伊達市で仏像展を開催するまでになってしまった。人というものは、変われば変わるものである。
10月は私の通っている仏像教室の1年に1回の恒例の中野坂上にある成願寺で仏像展が開かれる。
今年は既に2回も仏像展を開催しているので、私は出す新作品が無い。
仕方なく、既に発表済みの釈迦座像と大黒天を出した。
今年の作品展は、特にねずみ年ということもあり、特別展として大黒天を集めている。
私は2年ほど前に彫った作品を出した。
大黒天ご一行さまの一番右手の物が私の作品である。
同じ大黒さまでも、みんな少しずつ違う。
近寄れば、自分の大黒天はすぐ分かる。飼い猫と同じようなものだ。
大勢の生徒達の作品と一緒に並べられると、自分の作品の未熟さが分かる。少し気持ちが萎えるが、進級試験があるわけじゃないので安心である。
次の製作課題は『不動明王像』と決まった。
これからの有り余る時間で、ゆっくりと彫ろうと思う。
(おまけの話)
仏像展と同じ日に新宿御苑の傍の『フォトギャラリー・キタムラ』で同級生のプロカメラマンの大高明君の主宰する写真展があった。
会場は中野坂上駅からは地下鉄で4駅なので、そちらに向かう。
この写真展は大高君が主催したコロラド・プラトーの写真撮影旅行に同行した生徒達の作品展である。
先生がいいのか、生徒の作品とはいえ、レベルが高い。
久し振りに会った大高君は全然、老けていないで、元気溌剌である。
話は写真のことよりも、健康のことになってしまった。
彼は私の前立腺癌を知っているので、『全然、病人風じゃないねー』と言う。私も病人のような気がしていない。
そこから親の介護や自分達の老後のボケなどに話は飛んだ。
大黒さまとコロラドプラトーには何の関連性も無いが、強いて言えば、やはり何も無い。
今回はかなり無理をした話題であった。
自分でも、書いていながら、どうしたものかと悩んでいた。