■都会の中の静寂
駒込の冨士神社に行った時のことである。 山手線の私が降りる同じ駒込駅の近くに『旧古河邸』と『六義園』があるということが分かった。折角の機会だからと寄ってみることにした。
旧古河邸は解説書によると、『明治の元勲・陸奥宗光の別邸だったが、宗光の次男が古河財閥の養子になった時に、古河家の所有になった』と書いてあった。
旧古河邸の門を入り、受付で150円を払う。
邸内は今が見頃のバラで埋め尽くされている。
お花が大好きという感じのオバサン達が沢山来ている。
色とりどりのバラが咲き乱れている。これは綺麗だ。
次に駒込駅の反対側にある六義園に行く。
どちらも都立の公園である。
六義園は『五代将軍・徳川綱吉の信任が厚かった川越藩主・柳沢吉保が元禄15年に築園した和歌の趣味を基調とする回遊式築山泉水の大名庭園です』と解説書に書いてあった。
ここでも入口で150円を払った。そこで気が付いた。
本来は300円だが、65歳以上なので半額となっていたのだった。じゃー、旧古河邸は70円で入れたのである。
六義園は大きな池が中心にあり、その周りを歩くようになっている。正しい日本庭園である。
どういうわけか、庭園に来ているのはオバサンの2人連れが多い。
オバサンは家庭の煩わしさや面倒なオヤジから逃れて、友達とここへ来ているのかもしれない。
東京にはまだまだ素晴らしい公園が沢山ある。
伊達の友人達が来れば、盛り場だけでなく、こういう場所に案内したい。でも、希望しないかな?
(おまけの話)
この近くには『お婆ちゃんの原宿』として有名な水かけ地蔵がある。
また、私が大学時代にゼミで通った理化学研究所もあった。この辺りは小金井から上野・浅草に行く時にはよく通る道沿いでもある。
更に近くには大学時代の友人の家もあった。
六義園に行ってみて、大きな池から見える住宅の風景に見覚えがあった。なんだろうと考えて、やっと分かった。
私は以前に逆の場所からこの池の場所を見ていたのを思い出した。
私の友人のO君が住んでいたのが、上富士前交差点からすぐの六義園に隣接した高台の場所だった。
彼の部屋からは六義園の大きな池が見えたのを覚えている。当時はまだ土地バブルも始っておらず、『いい場所だなー』とは思ったが、そんなに資産価値のことは考えてはいなかった。
その後の、田中角栄の日本列島改造論に始まる土地ブームで、彼の家も相当な資産価値になったのだろう。
いつのことか、そこを売って引っ越して行ってしまった。
そして、風の便りでは、15年ほど前に亡くなったようだ。