■秩父の氷柱を見に行く
車を手放し、免許証を返納してから遠出が難しくなった。
だから遠出をする時は新幹線か、飛行機で行くことになる。
しかし写真を撮りに行きたい時は家族は邪魔なので、マンションで車を持っている友人を誘う。
いつも一緒に行ってくれる友人は車の運転は怪しいが、写真撮影はプロ級である。
谷底の河原から吊り橋を見上げる( 尾ノ内百景氷柱)
どこで見たかは忘れたが、「秩父三柱めぐり三景・日帰りバス旅行」という企画を知った。
これは秩父の3ヶ所の氷柱をめぐって来るという私好みの企画だった。
早速、旅行社に申し込み、日にちが近付いて来て焦った。
東京の気温がどんどん上がって来たからだ。2月4日などは最高気温が19度にもなり氷柱が溶けてしまう。
吊り橋は身動きも出来ないほど大混雑である(尾ノ内百景氷柱)
その後、幸いに翌週から気温が下がり、2月16日に集合場所の東京駅近くのバスターミナルに行った。
今回の企画の3ヶ所の氷柱とは、 「尾ノ内百景氷柱」、「三十槌の氷柱」、 「あしがくぼの氷柱」である。これらはみな埼玉県の秩父にある。
「三十槌」を読める人は少ないと思うが、私は以前に2度も行ったことがあるので読める。これは「みそつち」と読む。
人工の氷柱には情緒が無いように感じる(尾ノ内百景氷柱)
バスの集合場所に行ったら、なんと私の予想に反してこのツアーはバスが3台も来ていた。定刻に出発したバスは関越道を走り花園インターで出て、いきなりお土産屋に立ち寄った。
次に車内で「わらじカツ丼」と称する弁当を渡されて、尾ノ内百景氷柱に向かう。ここの氷柱は渓谷の小さな滝の周りに川の水を撒き、人工で氷柱を作っている。
道路から河原に降りると自然の「三十槌の氷柱」が見えた。
しかも「環境整備協力金」と称して、入場料(200円)を取る。
自然の場所に柱を組み水を撒いて氷柱を作って見せているのに、「環境整備」とは変だと思った。
私には「自然破壊」としか思えなかった。
次は私が2回も来ている三十槌の氷柱である。ここは崖から湧き出した水が凍って自然に出来た氷柱である。
崖から自然に漏れ出した水が凍った芸術品である(三十槌の氷柱)
15年くらい前にここに来たのが最後だったが、今回はあまりの変りように驚いた。駐車場が整備され売店も出来て、やはり環境整備協力金(200円)を取る。
河原に出てみて驚いた。
自然の氷柱の隣に、更に豪華な人工の氷柱が作られていた。
それを見ると、悲しいかな自然の氷柱の方ががみすぼらしく見える。
隣の人工の氷柱は豪華だ(三十槌の新氷柱)
最後は「あしがくぼの氷柱」でライトアップを見る企画である。
ここは西武鉄道駅前の駐車場から歩いて数分の場所にあるために、道路が大渋滞で動かない。路肩にバスを停めて、歩いて見に行く。
ここの環境整備協力金は300円だった。
氷柱のある場所は狭く見物客が多いので、まるで満員電車の中のようだった。
清流に映った氷柱が美しかった(三十槌の新氷柱)
わざわざバスに乗って氷柱を見たが、12時間のバスの旅でバスを降りたのはたったの4時間くらいだった。
寒い地方に住む人から見れば、「東京の人はお金を払って氷柱を見に行くなんて、なんてバカなことをしてるんだろう!」と呆れられると思う。
自然の中に水を撒いて作られた氷柱は果たして「自然なのか?」、考えさせられた。
(おまけの話)
秩父に行ったのは、これが10回目くらいだろうか。
仕事を引退して後の計画が無かった私は、「これから何をしようか?」と迷っていた。
先ずは「仕事時代の垢を落とす」、「これから先の人生の幸せを願う」という意味で秩父34札所巡りに行ってみた。
また仕事でお世話になった方々へのお礼の意味もあった。
西武線からも見える人工の氷柱(あしがくぼの氷柱)
1回目と2回目は1人で行った。3回目はアメリカ人の友人と巡った。
4回目は手を抜き、同級生と自転車で巡った。34札所を全て巡ると約100キロにもなる。
全ての札所を歩きで巡った時は4~5回に分けて歩き、1日分が終ると西武線で家に戻った。
最後の札所は1ヵ所だけ遠くに離れているので、宿に泊った。
氷柱を巡る道は細く大混雑(あしがくぼの氷柱)
今回のバス旅行では思い出深い場所を通ったので、風景がとても懐かしかった。ある時は帰りのバス停で油断をしていたら、1時間に1本のバスが走り去ってしまった。
また自転車で巡った時は、途中で電動自転車のバッテリーが切れてしまい、重い自転車を引きずって坂道を登った。
あの時ほど情けなく感じたことは無い。
しかし4回も札所巡りをしたが、悟ったり、達観したとは思えなかった。
ライトを当てて、色々な色で演出する(あしがくぼの氷柱)