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[2019.07.22]
■一日一善(2)
 
この年になると、世の中の役に立つことはほとんど無くなる。 
増えるのは人に迷惑を掛けることでしかない。 
 
でもいつも何か役に立つことをしたいとは思い、「一日一善」を心掛けている。そんなことで、いつも困っている人を探しながら歩いている。 
 
(今回の写真は隅田川を走る船です) 


以前はバスの中などで年寄りがいたら、率先して席を譲っていた。 
ところが最近は、私の方が席を譲られるようになってしまった。 
あまり意固地になって断わると、「嫌なジジイだな!」と思われるかもしれないので、最近は素直に席に座るようにしている。 
 
 
銀座などに出ると、以前はガイドブックや地図を持って思案にふける外国人を見掛けると、「どこへ行きたいのですか?」と声を掛けていた。 
 
時間がある時は一緒に目的の場所まで案内していた。 
そんなことくらいで日本の評判が上がるなら、これで日本のお役に立てると思ったからだ。 
 
 
ところが最近はそんな機会が無くなってしまった。 
その大きな理由はスマホの普及である。外国人もみんなGoogleで場所を探している。 
 
以前に銀座でスマホでも場所が分からないようだったので、声を掛けたら「No thank you!」と冷たく断られてしまった。 
折角、日本に来て日本人と接する機会を自ら捨てている。 
 
 
その時に私は嫌な気分になったので、それ以来、相手が聞いて来なければ知らぬふりをしている。 
スマホの普及でカフェにいるカップルでさえ、話もせずにスマホを操作している。味気ない世の中になってしまったものだ。 
 
「一日一善」を目標にして来たが、もうこれは取り下げるしかないようだ。 
 
 
ところが、ある日の午後にチャンスがやって来た。 
東京タワーの近くの赤羽橋へ向かう道路を歩いていたら、車椅子の白人男性がいた。 
 
歩道の信号が青に変わったが、道路の舗装がデコボコなのと、少し上り坂となっていて、その人はなかなか前に進めなかった。 
 
 
みんな忙しいのか、知らんぷりで通り過ぎて行く。 
私はそっと車椅子の後ろのハンドルを掴んで、車椅子を押して信号を渡った。 
 
思い掛けない日本人の親切に驚いたように後ろを振り返り、その白人男性は「Thank you very much」と言った。 
私は右手を上げて「Welcome」と答え、何ごとも無かったように先を急いだ。 
 
その日は「一日一善」が出来て、私自身がとても気持ちが良かったのである。 
 
 
(おまけの話) 
以前に「小さな親切、大きなお世話」という嫌な言葉が流行ったことがある。こちらが親切のつもりでも、相手にとっては迷惑であることもある。 
 
7月15日(祝)の午後3時過ぎに、マンションの友人のXさんから電話があった。Xさんは昨年、奥さんを亡くし今は1人暮らしである。 
「明日の早朝の本願寺の読経には行けない。先ほどマンションの入口で転んでしまい、両手首が痛い」。 
 
血圧計が異常値を示している。 
いつもは130台だそうで、この日は興奮し過ぎて高く出たようだ。 
 
 
そこで状況を詳しく聞いたら、どうも病院に行った方が良いように思えた。Xさんを説得して、タクシーで休日緊急診察をしてくれる聖路加国際病院に行った。 
 
受付で問診表を渡されたが、Xさんは手首が痛くて記入出来ないので私が代わりに書いた。 
その後に「自分で血圧を測って下さい」と言われてXさんが測ったら、上が216といういつ血管が破れてもおかしくない数値だったので私は驚いた。 
 
診察室に貼ってあったXさんの為のようなポスター。 
 
 
その後、診察となり頭と両手首のレントゲンを撮った結果、医者の診断結果は「両手首骨折、全治6週間」だった。 
病院は祝日なのに大混雑で、3時間半も滞在してしまった。 
帰りもタクシーで帰り、その時間に合わせて女房がXさんのために夕食のお弁当を作って待っていた。 
 
「小さな親切」で「一日一善」を目指していた私だが、思い掛けないアクシデントで大きな一善となった。 
今回の大きな一善は、「小さな一善」の10回分と数えようと思っている。 
 
両手首を骨折したXさん。(これではどうにもならない) 
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心の伊達市民 第一号
心の伊達市民 第一号
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。 
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