■上高地の秋(2)
2日の朝は午前7時に1人で朝食を食べて、田代池と大正池の撮影に行った。ホテルの玄関の外の寒暖計を見たら、マイナス5度だった。 木道を進むと、両側の木々の葉は凍っている。水たまりも凍っている。
防寒着をシッカリ用意して来たので、顔以外に寒さは感じない。
梓川に沿って木道を行く。(木道も凍っていた)
ここでの日の出は午前6時45分なので、7時過ぎには林の中でも暗くはない。そんな寒さの中を、本格的なカメラを持った人達に大勢出会った。
みんな分かって来ているようだが、その時は私にはまだ分からない。
30分ほど歩いて、田代池に着いた。
周りの草や葉も、みんな凍っていた(熊笹)
池と言っても「水たまり」を大きくしたようなものだ。
ところがここが幻想的な光景を演出している。
空気より池の水の温度が高いので、水面から霧が立ち昇っている。
これは「けあらし」とも、「川霧」とも言うようだ。
重装備で田代池に向かうカメラマン。
カメラマン達はこの瞬間の撮影に来ていたのだと、その時に私は知った。全くの偶然のチャンスに出会い、早起きしてここまで来て良かったと思った。
次に大正池に向かう。田代池から林の中を15分くらい歩く。
大正池でも「けあらし」が見られた。「自然とは素晴らしい」と改めて思う。
田代池の光景は素晴らしかった。
「大正池からホテルに同じ道を戻るのも疲れるなー」と思っていたところが、道路に出たら路線バスがやって来た。ここで降りる観光客が多いので、みんなが降りた後に運転手に聞いてみた。
「バスターミナルまで乗れますか?」。
OKとなり、バスターミナルまで乗せてもらう。
野生の猿が道の真ん中を堂々と私の方に歩いて来る。
時間はまだ9時なので、思い切って明神池まで行ってみることにした。
河童橋を渡り、梓川の左岸を進む。
ここを行く人はこの時間ではまだいない。
途中で野生の猿の家族に出会った。木道を向こうから堂々と進んで来る。体の大きなボス猿のようだが、私は避ける場所が無い。
どうしようもなくそこに立ち止っていたら、私の脇をすり抜けて歩いて行った。
明神池の参詣場所。
約1時間くらい歩いて、明神池に着いた。
しかし明神池を見るためには、明神神社の拝観料を払う必要がある。
なんだか納得し難いが、300円を払って中に入る。
湖面は静寂に包まれ、鏡のようだ。
山の紅葉が水面に映っていて、素晴らしい。
帰りは梓川の反対側を通って、ホテルまで戻った。
明神池は鏡のように美しい。
(おまけの話)
撮影から戻り、家族で帝国ホテルでランチを食べる。
私 「私のいない間、なにしていたの?」
女房「ゆっくりと本を読んでいた」
私 「せっかく上高地に来たのだから、外に出た方が良いよ」
清流には「岩魚」?が泳いでいる。
・・・というわけで、私が早朝に行った田代池と大正池を案内することになった。まだ3日前にひいた風邪も完全に治っていないのに、私はつい無理をしてしまう。
もう昼過ぎなので、気温も高く「けあらし」も出ていない。
でも家族は林の中の木道を歩き、清流では「いわな」の泳いでいるのを見付け、「けあらし」は私の撮った写真を見て満足のようだった。
大正池から「けあらし」が立ち昇っていた。
昼過ぎには観光客の数も増え、撮影道具も一眼レフからスマホに変った。帰りは今朝と同じく大正池から路線バスに乗り、帝国ホテル前で降りた。
流石に帝国ホテルのサービスは至れる尽くせりで、過剰なサービスをされるのに慣れていない私は「そこまでしないでもいい」と言いたかった。
木々が凍り、水面からは「けあらし」が立ち昇る幻想的な光景だった。