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[2020.04.25]
■和船に乗る
(2018年4月13日) 
 
 
4月6日に強風が吹いたことは既に書いた。 
夕方になり家に戻ってから、ベランダで乾した洗濯物を居間に持って来て畳んだ。 
 
ところが私の愛用のパジャマの下のズボンはあるが、上が無い。 
女房に聞いたら、「どこかにあるでしょう。自分の部屋を探したら!」と言われてしまった。 
 
大横川に架かる黒船橋から下を見たら、和船が見えた。 


 
ところが狭い家なのに、どこにも無い。 
きっと強風でどこかに飛んで行ってしまったのだろうと思う。 
 
翌日になり郵便局に用事があったので、海の方まで歩いて行ってパジャマを探したが無い。そこからもと来た道を引き返し、門前仲町に向かって歩きながら探したが見付けられなかった。 
 
和船乗り場の黒船橋桟橋。 
 
 
門前仲町に流れる大横川に架かる黒船橋を渡っている時に、何気なく下を見た。するとそこに和船がゆっくりと進んで行くのが見えた。 
 
3月24日から4月11日まで「深川さくら祭」が開催中で、そのイベントの和船だと分かった。でも桜はとっくに散ってしまっていて、さくら祭の雰囲気はまるでない。 
 
和船に乗る。(船賃は500円) 
 
 
下に見える桟橋に行って、乗船を申し込んだ。 
私が乗った和船は船頭とガイドの2人がいて、乗客は若いお母さん達の3人連れが一緒だった。船は静かに、音も無く岸を離れる。 
 
そして川上に向かって上って行く。川は大した流れが無いので遡るという感じは無く、どちらかというと満潮に乗って下るという感じだ。 
黒船橋の下をくぐり石島橋の近くまで行き、そこで船は反転する。 
 
ガイドのジイサンは冗談ばかり。 船頭は寡黙だった。 
 
 
桜は全く無い。しかも川面には花筏も無い。「さくら祭」が気の毒である。船頭は無口だが、ガイドのジジイがエンターテイナーで冗談ばかり言っている。 
 
昔の演歌を歌ったかと思うと、懐から栄養ドリンクの空瓶を取り出し、橋の下に来ると口に当てて吹く。 
すると「ボァ~ン」という船の汽笛のような音がする。 
 
川上に向かって和船は進む。両側の桜は葉桜になっている。 
 
 
これは商売じゃないので、「乗船客に喜んでもらいたい」という気持ちがストレートに出ている。ボランティアというのはお金を儲けようと思っていないので、お客はその「おもてなし」が嬉しい。 
 
船に乗る人もあまりいないので15分の予定だったが、途中でまた船を反転させた。冗談ばかり言っている間に30分も経ってしまい、やっと船は桟橋に戻った。 
 
今日は思いがけず、良い経験をした。「犬も歩けば棒に当る」とは、このことか? 
 
和船は静かに進んで行く。この場面で、新しく買ったSONYのカメラが威力を発揮した。川の水は綺麗で、匂いも無い。ガイドのオジサンが水を手に取って、舐めて見せたのには驚いた。 
 
 
帰ってから「和船・友の会」のホームページを開いてみた。 
そこには和船の研修と検定試験の案内も出ていた。 
1年で、8回くらいの実技で、その後の試験に合格すれば船頭の資格が得られるらしい。 
 
 
何でも興味のある私は、今は「やりたい」という気持ちと、「少し面倒だな」という気持ちが葛藤している。果して、どうなるか? 
 
深川観光協会のサービスで「新内流し」の和船が来た。 
 
 
(おまけの話) 
受付で船賃の500円を払い、船着場の桟橋に行く。そして、そこにいたジイサンに声を掛けた。如何にも「船頭」という出で立ちで、着ているハッピも染め色が落ちて年季を感じさせる。 
 
私   「もう船頭歴は長いんですか~?」 
ジイサン「18年かな~」 
私   「これは仕事ですか?」 
ジイサン「違うよ!、これは和船の技術を残すためのボランティア活動だよ」 
私   「それは失礼しました」 
 
向こうに見えるクルーズ船は、同じようなコースで2300円もする。 
 
 
その後、船の準備が整うまでの間に、色々な話をした。 
ジイサン「この菅笠の浮世絵は私が描いたんだ」 
 
すると近くにいたバアサンが「これの方がもっと凄いよ」と、自分の菅笠を見せてくれた。この浮世絵もそのジイサンが描いたのだそうだ。 
 
いかにも船頭!(本橋さんという名らしい)と私。 
 
 
私は「凄いですねー!」と言ったら、ジイサンは自分のバッグから何か探している。そして「今はこれしか無いが、プレゼントします」と言って、ドングリを差し出した。 
 
そこには「ミツバチ・ハッチ」の絵が描いてあった。 
何もやることが無く、「毎日が日曜日」と嘆いているジイサン達に比べて、「なんと元気で、しかも充実した人生を送っているんだろう」と橋の上から下を見た偶然に、私は感謝したのである。 
 
趣味で菅笠に描いた浮世絵。       ドングリに描いたミツバチ・ハッチ。 
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心の伊達市民 第一号
心の伊達市民 第一号
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。 
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