■有珠のクマゲラ
冬の有珠の森は静かだ。
木の葉が落ちた木々が立ち並び、遠くの方まで見通せる。
中腹より下の方で、小鳥たちが飛ぶ姿を見かける。

今年になってから4回訪れたが、幸運にもクマゲラに出会うことが出来た。
いままでも、歩いているとたまに空を飛んでいくところを目にとらえたことはあったが、写真を撮ることはできなかった。
1月21日に下山したときに登山口の近くで、クマゲラ、アカゲラ、コゲラの3種類のきつつきに出会って、写真に収めることが出来た。こんな経験はいままでなかった。いつも有珠山に来ているから、“ご褒美”を下さったのかもしれない。
中でもクマゲラは、めったに会えないので、「よくぞ木に留まってくれた!」という思いだった。
我家の鳥類図鑑(一部インターネットの情報も含む)によるとクマゲラは、
主に北海道に棲む。数は少ない。原生林や森林に生息。留鳥。全長約46cm。
キツツキ科の中では大型、体は全体的に黒く、クチバシは黄色っぽい白色、オスは頭頂から後頭部にかけて赤い羽毛がある。(赤いベレー帽をかぶっているよう)メスの場合は後頭部だけが赤い。声はキョーン、キョーンとよく響く。
鋭いクチバシで木の幹をつつく音は大きい。生木の根元近くの幹に長方形の大きい穴をあけて採餌する。飛翔は翼をゆっくりとはばたかせ、ふわふわした感じ。
英名(Black Woodpecker)
アイヌの間では「チプタ・チカップ」(船を掘る鳥の意)と呼ばれ、クマの居場所を教えたり道案内をする神として崇められていた。開発による生息地の破壊、人の侵入などにより生息数は減少している。日本では1965年に国の天然記念物に指定されている。
登山道のすぐそばの木に大きな穴が空いている。図鑑で述べられているように、20cm以上の長方形の大きな穴もある。今作業を開始したばかりで生木色の丸い穴もいくつかある。けっこう奥行き深く彫っている。この作業量は大したものだと思った。アイヌの人が「チプタ・チカップ」(船を掘る鳥の意)と名付けたのも肯ける。木の根元には、削った木片が大量に落ちている。ここは人が良く通る登山道のすぐ脇の木なのだが、あまり場所に頓着しないのかもしれない。古い大きな長方形の穴も、新しいのも同居しているので、この木が気に入っているようだ。
有珠の森の中腹には、“ミミちゃん”がいる。ミミは我が家の飼い猫だったが、一昨年の秋に15歳過ぎで逝った。いまは我が家のお花畑で眠っているが、小さなお骨5mm角で1mmにも満たない薄い片一つを谷あいのコジマエンレイソウの群落のそばに埋めた。もう地球に戻っただろう。毎回この場所を通るときにミミちゃんに話しかける。
「ミミちゃん、おはよう。元気かい」
「父さんも元気だね」
「小鳥たちは遊びに来てくれるかい」
「うん、ときどき近くを飛び回っているよ」
「春になったらきれいな花をいっぱい咲かせてね」
「うん、わかったよ」
「それじゃ上まで行ってくるからね。また帰りに寄るからね」
「父さんも気を付けてね」
ミミちゃんの眠る辺りでもキツツキたちは飛び回って遊んでくれているのかもしれない。
鹿たちがドタドタ通るときは、「何だ、大きいのがうるさいな!」と云っているかもしれない。
伊達の西方内陸部に黒松内町がある。天然のぶな林で有名なところだ。ときどき水を汲みに行ったり、道の駅でパンを買ったりしている。黒松内町のカントリーサインは「ぶな林とクマゲラ」である。何となくこのシールが気に入ってパソコンのそばのハードディスクの面に貼って、時々眺めている。今回有珠の森でクマゲラに会えたのは、そのご利益もあったのかもしれない。









(2016-1-29記)