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[2017.04.07]
■傾聴
先日「ボランティアフォーラム2017伊達」という催しが伊達カルチャーセンターであり、事例発表や講演を聴く機会があった。  
“ボランティア”という言葉は、どんな意味を持っいるのだろう?  
インターネットの百科事典“Wikipedia”によると、「ボランティア(volunteer)とは、自らの意志により  
参加した志願兵のこと。長じて、自主的に社会活動などに参加し、奉仕活動をする人のこと。また、奉仕活動そのものを指すこともある  



原語である英語のvolunteerの語の原義は志願兵であり、徴集兵を意味するdraftsと対義の関係にある。この語は歴史的には騎士団や十字軍などの宗教的意味を持つ団体まで遡ることができる。」  
とある。  
はじめに、3つの事例紹介があった。  
「視力障がい者の社会参加と自立を目指して」ということで「さわやかともの会」の鈴木さんのお話では、視力障がいの方が白杖を立てているときは、支援をもとめているときなので、「何かお困りですか」と声掛けをして欲しいとのこと。自分のひじにつかまってもらい、声でいまどういう状況(右に曲がりますとか、この先階段を下りますとか)にあるかを話しながら支援して欲しいとのことだった。  
最近、視力障がいの方が駅のホームから転落されて亡くなられたというニュースが2回くらいあった。先日北海道のTV番組では、冬の札幌の町中を視力障がいの方が歩くのが、いかに困難なことであるかが報じられていた。歩道が雪や氷で覆われて点字ブロックがなくなったところを歩くことは、目標を失った場所を歩くようだ。店の立て看板や放置自転車が歩道にはみ出していると接触してしまう。雪道や凍った道、段差や傾斜ができてしまった滑りやすい道を歩くのは、わたしたちでも恐い。視力障がいの方が、冬の道を歩くのはどんなにか大変なことだろうと思った。  
「子ども達の健やかな成長を願って」ということで「伊達市母子寡婦福祉会」の藤本さんのお話。この会が設立されたのが昭和32年というから、もう60年続けられている活動とのこと。入学児童への文房具やお祝い金の配布、お母さん方の自立支援、募金、フリーマーケット、クリスマス会、広報誌の発行など代々受け継がれている活動を継続されている。  
「介護保険サービスのすき間を埋めたい」ということで「NPO法人御用聞きわらび」白老の星さんのお話。  
生活の中で手助けして欲しいと思っている高齢者、障がい者の方々を、元気な高齢者を中心に手伝ってもらう有償ボランティア活動で取り組んできたことについて説明された。  
高齢化社会で、特にお年寄り一人でいろいろと困っている家庭は多い。  
掃除、洗濯、食事作り、ゴミ出し、窓ふき、お風呂洗い、布団干し、電球の取り替え、草取り、枝切り、畑起こし、物置の整理、玄関前の除雪・氷割り、ハチの巣駆除など。  
また介護認定のことをどこに相談したらよいかが分からない、などの相談ごともある。  
公共交通機関が乏しい地方では、移動の手段は車にならざるを得ない。車を持たないお年寄りにとって、買い物や病院、銀行などに出かけるときの足に困る。要介護認定を受けられている方、障がい者手帳をお持ちの方などを対象とした福祉有償運送サービスの話もあった。電話で連絡をもらうと、指定時間に自宅まで配車して、買い物、病院、銀行などに行くことができる。  
後半は、講演会となり、  
「ボランティア活動は自分を穏やかにする」―傾聴のこころで良好な人間関係をつくりましょうーというタイトルで、「室蘭傾聴ボランティアの会」小林さんのお話があった。  
小林さんが、このような活動に取り組むきっかけとなったことから話が始まった。  
小林さんが21年前に室蘭の輪西の製鉄所に働いていた時、初めてお会いした一人の視覚障がい者の方から「盲人卓球を手伝って欲しい」という声がかかり、それをやり始めてから障がい者スポーツのとりこになっていった。  
小林さんのお話のいくつかをご紹介させていただく。  
会ができたのは3年前で、始まりは社会福祉協議会に一本の電話が入り、「お話相手が欲しい」ということだった。この後札幌から講師の方を呼んで“傾聴”についての研修会を実施した。この“傾聴”研修で学んだことを、老人ホームに伺って実践しようということが会のきっかけになった。  
ボランティアは続けていくことが大事だと小林さんは感じている。やる人の心に、「何か役に立った」という自己有用感、自己肯定感を感じることが一番うれしいことだ。  
シカゴに留学経験のある女性の方が「わたしのボランティア」という演題で講演されたときの話を紹介された。昔はお金に余裕のある人たちが恵まれない人に着物や食事を与える  
奉仕活動であったと理解していた。しかしシカゴで経験したことは、町をきれいに清掃したり、道端の草を刈ったり、あるいは酔っぱらいを一晩自分の家に泊める靴屋さんがいたり、それらのことを誰からの指示でもなく普通の市民が普通に行っている姿を見たことだった。町をきれいに保つという事は犯罪からも町を守ることにもつながっていくのだろうともおっしゃっていた。  
確かに雑然として汚れた町よりも、きれいな町並みの方が、またご近所同士が緊密に話したりしている町の方が悪いことをしようとする気持ちを抑制するように思う。  
 
ボランティアは、わたしたち“奇跡の命”を頂いてこの地球に生まれて来た同じ人間同士の“ヨコの関係”で、「社会連帯感」なのだとも話されていた。  
「社会連帯感」とは、“となりの子供が幸せでなければ、うちの子だけが幸せでも、それは本当の幸せとは云えない”とも話されていた。  
良好なコミュニケーションのひとつは“傾聴”といわれる。「高齢者の健康は心の健康が伴ってはじめて真の健康なのだ」ともいわれ、ある団体のキャッチフレーズは、  
「聴くことで できる社会貢献」となっている。  
がん患者緩和ケア病室で、あなたは親しい友人から  
「もう死にたい。わたしはどうしたらいいんですか」と云われたら、どう返事をしますか?  
「どうしてそんなことを考えるのですか」  
「それを云われると辛いです」  
「そんなことを云わないで。まだまだやることがあります」・・・・  
この場では、その人の話をとにかく聴くことでその人にとっての生きることの意味をいっしょに探すお手伝いする気持ちが大事なのです。答えなくていいのです。「答えられないのが答えです」「沈黙も傾聴」です、とも小林さんは話された。  
小林さんの気づきは、老人ホームなどでの傾聴ボランティア活動を通じて、多くの方の“人生物語”を聞ける喜びがあるということであった。  
「人はみな“人生のリュックサック”を背負っている。その中身を知ることが大切」と話された。  
確かに他の方の人生経験を聴くことは、自分では体験できなかったことを知ることなので、それだけ知識が豊かになることなのだろうなあ。  
 
TVの北海道版「がんと生きる」の番組に中で、CLS(Child Life Specialists)という資格をもつ女性の仕事が紹介されていた。子育て世代の母親ががんに罹った時に、お母さんが子供の世話を充分にできない悩み、また子供に不安を与えてしまっていると思う苦悩、さらに子供たちが母親に対して抱く不安など家庭内に様々な問題が生ずる。これらのことに対して、母親と子供に適切にアドバイスを行っていくのがCLSの資格を持つ方の役割となる。  
また小児ガンなどの子供たちに、その病気のことを伝えていくことなどが紹介された。子供の年代によって、病気の受け止め方にいろいろな思いがあるので、その思いに合わせる形での伝え方があるそうだ。いずれにしてもCLSの方の親や子供への接し方のベースには、聴くことがあるように感じた。  
CLSは、大学や大学院で心理学、教育学、家族学、社会学など、医療における子供と家族への心理社会的支援に関する学問を学び、幼稚園や保育園、小学校、特別支援学級、病院などの現場での実習、さらには認定CLSのもと病院でのインターンシップを経て資格を取得する専門職だそうだ。  
最近の見聞から、傾聴に関わることを少し書いてみた。  
(2017-2-28記) 
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2007年に横浜から夫婦で移住。趣味は自然観察/山登り、そしてスケッチやエッセーを書く・・・ 
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