■コーヒー豆と鍋焼きうどん
地元の友人達に引越しを知らせたら、色々なメールが入る。私も長く住んだ小金井を去るとなると、やはり寂しい。 Uさんは、『あなたのことですから「勝どき」どころか、海外に移住しても驚きません。しかし、小金井に愛着があることを知り、小金井原住民として嬉しく思います。』とあった。
小平のコーヒー豆店「エスアンドシー」
M君は、『素晴らしいところへご新居が決まり、おめでとうございます。東京を自分のものにしたような景観、さぞや素敵なことでしょうね。「チョイナカ、小金井」(小金井のキャッチフレーズのひとつに商工会の若手が考えました)から、大転換で目を回さないようにして下さい。』と、あった。
そんなメールの数々が来たので、最後になって急に感傷的になり、もう一度、会社があった小平の町を確認したくなった。
オヤジにもらったコーヒー豆袋(ジャマイカ・コーヒー)
そこで、片付けの合間を縫って女房と小平に行った。
元の会社があった傍に天神町商店街というところがある。
ここは殆ど死んだような商店街で、その東の端に「エスアンドシー」という名前のコーヒー豆を売る店がある。
私はこの店のオヤジからコーヒーに関する知識を入れていた。
オヤジもオカミサンも気の良い人達で、更に話好きである。
プレゼントの食器類
小金井を去るにあたり何か記念の品と思い、女房は洒落た和食器を持って行った。
『不要だったら捨てて下さい』と言ったら、もっと欲しいようだったので、次は段ボール箱に2箱の食器を持って行った。
割合に値打ちのある品だが、バザーなんかに出すよりは、親しい人にもらってもらい、その人がその食器を使う時に私達を思い出してくれたら嬉しい。
私の思い出の確認は、同時に彼らにも私達が思い出となっている。
平作の「もりうどん」
(おまけの話)
寒い日だったので、昼飯は鍋焼きうどんにした。
小平で鍋焼きうどんと言えば、「平作」である。
出汁がよく効いた熱々の鍋は絶品である。
前回も女房と一緒に行き、鍋焼きうどんを食べた。
お勘定になって、私は女房から渡された小銭入れから計算してお金を出した。
そして店を出たら、店の女の子が私を追いかけて来て言った。『お勘定が足りないんです。』
平作の「鍋焼きうどん」
私は呆気にとられて、何が何だか分からなかった。
店に戻ると女将さんが申し訳なそうに、私の出した小銭を見せた。そして私は気が付いた。
私は半端な小銭だけ出して、お札は出さなかったのである。
あれからなんだか行き難くなっていたが、小金井を去る前にもう一度行ったのである。