■豪雪の只見線のバアチャン
今年の日本海側は異常な豪雪であると、テレビが伝えていた。 そんな情報を聞いたら、急に「豪雪の中で露天風呂に入る」という企画を思い立った。
そんな私の誘いに応えて、Y君が参加を表明した。
今回の秘湯は奥会津の玉梨温泉である。
インターネットで「豪雪の温泉」と検索したら出て来たというだけの理由でここを選び、行くことになったのだから結構いい加減なのである。
雪に埋もれる会津川口駅
(ここから先は大雪の為に1ヶ月も不通)
温泉宿の恵比寿屋に予約をし、現地状況に付いて質問をしてみた。
私 『只見線が雪の為に運休になることはありますか?』
宿 『今年は例年にない大雪のため、只見線も運休の日が多いです。』
車中で出会った病院帰りの3ババ
それにも構わず、私達は会津若松駅から只見線で会津川口駅に向う。
最初の頃こそ女学生などが乗っていて賑やかであったが、間もなく誰も居なくなった。
我々の他は婆ちゃん3人組だけとなってしまった。
そこで婆ちゃん達との会話が始まった。
彼女達は病院の帰りだそうで、我々の泊る玉梨温泉の少し先の集落に住んでいると分かった。
旅館の下を流れる川
婆ちゃんは、『病院の帰りに駅の傍で食べる焼肉定食が美味しいんだー。800円だが、肉が柔らかくて旨い』と言う。
私 『それは豚か?、牛か?』
婆ちゃん、『分かんない。どこから来たんだ?』
私 『東京だ』
婆ちゃん 『東京の人は金があっていいなー』
私 『そんなことはない。年金暮らしだ』
婆ちゃん『オラには年金もねーよー』
そんな話を延々としていたら、やっと会津川口駅に着いた。
そこには宿の若旦那がマイクロバスで迎えに出てくれていた。
川沿いの風呂小屋
(おまけの話)
引越しが2週間後に迫っているのに、私は秘湯に行きたくて、その話を女房にした。
すると案の定であるが、彼女は、『引越し間際だというのに、なにを考えているのよー?』と言う。
私は『小さい時から育った小金井を離れるのは、あなたと違い、そう簡単なことじゃないんだよ。少し家を離れて、心の痛みを癒し、静寂と安静を求め、その後に引越しをしたい』とオーバーに言ったら、その時は納得した。・・・・ようだった。
今年は久しぶりの豪雪だそうだ。
実はそれは嘘で、今年の豪雪をただ体験したかっただけである。
でも嘘をついても、行って良かったと思える秘湯だった。