■初めての訪問者
19日の朝に携帯電話が鳴った。 液晶画面を見ると、伊達市の金物屋のHさんからだった。
なんの用事かなー?と思って出て見ると、『いま東京スカイツリーの下にいます』と言うから驚いた。
『近いから来ないか?』と誘うと、最初からそのつもりのようだったHさんは、『今から行きます』と答えた。
3月17日の朝日
Hさんが伊達から我が家への初めての訪問者だ。
彼は伊達市のメセナの関係で、東京で演劇を見るのが仕事で来たと言う。
この大震災の最中に、なんとも羨ましい話である。
伊達市のことが気になる私に、Hさんは自分の知る情報を教えてくれた。
Hさんが新島橋を渡って来るのが見える
『今回の大地震では特に目立った被害は無かった。漁業関係で、ホタテ貝の養殖筏が流されたらしい。スーパーでも品物はあるし、ガソリンスタンドで給油の行列も無い』。
関東地方とはなんと違うことか・・・。
でも、『伊達市の関係者には被災地に親戚や知り合いがある人が多いので、連絡が取れず困っている人がいる』と聞き、やはり無関係ではなかったと知り、何故だかホッとした。
Hさんが帰る清澄通り
翌日のことである。
私は家族と銀座の三越デパートに買い物に行った。
そして買い物も終り、帰ろうと思い6階に出た。
すると向こうのレディス売り場に、見たことのある人が買い物をしている。体形から見て、どうもHさんらしい。
彼は女房とオフクロにお土産を買っていた。
こんな広い東京で、また会えるとは驚いた。
思わず記念撮影をしてから別れた。
大江戸線の路線図
(おまけの話)
Hさんが帰った後に宅急便が届いた。
開けてみたらイコロ農園のTさんからの野菜の数々だった。
それに北海道のバターにチーズ、そしてなぜかウズラの卵も入っていた。
以前にメールで、『イコロ農園ハウスで約12種類のサラダ菜が、完全無農薬で夜の寒さ、昼の酷暑の中で育ちました。
宅急便で送ります』と来ていたので、それだろう。
イコロ農園のサラダ菜とバターなど
それが引越しと大地震の合間を縫って送られて来たのだった。大震災後にも拘わらず、伊達市から2日間で届いた。
被災者のことを思うと、なんだか申し訳ないような気持である。
早速、夕食のテーブルに和風ドレッシングで登場した。
なんだか懐かしいような味がした。
有珠山の香りもしたような気がした。ありがとう。Tさん。