■自然派が人工物派に
小金井に居た時は、周りに自然が山ほどあった。 だから、カメラを持って近場の自然を写真に撮ることが多かった。
また、庭には小さな畑を作って、無農薬の野菜を育てていた。私は自然派だったのである。
そんな私が東京のド真ん中の、中央区勝どきに引越した。
そうしたら、周りには自然は殆ど無く、人工物ばかりとなった。

窓から見える緑は、目の前の浜離宮と、ビルの間に垣間見られる日比谷公園くらいだ。
あとは道路に植えられた街路樹と、倉庫のトタン屋根の緑色くらいだ。
だが引越して来て、気が付いたことがある。
それは、「自然も良いが、人工物の造形美もなかなか良い。」ということであった。

特に夜景は私のお気に入りで、時々、写真を撮る。
家からの夜景もいいが、隅田川沿いの遊歩道からの夜景は更に美しい。
夜景を見ると、「東京って、大都会なんだなー」とシミジミ思う。
夜景を見るなら平日の夜が良い。
週末や休日の夜は、ビルの灯りが少ない。
平日はオフィスビルの灯りが遅くまで点いている。
サラリーマン達がサービス残業をしているのだろうか?。

一方、それに比例するように高層マンションの窓の灯りが点いている部屋は少ない。
そこの住民はまだオフィスにいて、働いているのだろう。
それぞれの窓にはそれぞれの生活があるのだろう。
そんなことを想像しながら見る夜景も、また楽しい。
私はいつの間にか、自然派から人工物派になっていた。

(ツインタワーの右側のビル)
(おまけの話)
隅田川沿いにある遊歩道は昼間は人も多いが、夜ともなると殆ど人がいなくなる。
私が写真を撮りに行った時もそうで、1組のカップルがロマンチックな雰囲気を求めて来ていただけだった。
勝鬨橋の下をくぐって月島方面に向って歩いて行ったら、暗がりに人がいた。
よく見たら少年が2人で釣りをしているところだった。

私は彼らに話し掛けてみた。
私 『なにを釣っているの?』
少年 『スズキです』
私 『釣れるの?』
少年 『釣れる時もあります』
私 『どのくらいの大きさのスズキが釣れるの?』
少年 『40センチくらいです』
私 『そのくらい大きければ、食べられるね』
少年 『あまり美味しくない』
こんなに家から近くで海釣りが出来るなら、私もやってみようかな?東京にもなかなか良い自然があると知った。