■江戸と平成が混在する街「佃」
隅田川を遡ると、勝どきの先は月島で、その先が佃である。その境界には高架の道路が走っているが、以前はそこは川だったそうである。 その道路は隅田川を横切り、その橋の名前は佃大橋である。その道路の向こう側から佃島が始まる。
そこに、この町の由来となった老舗の佃煮屋が今もある。
老舗の佃煮屋
「そもそも佃煮というのは」という話は他の人に任せて、佃島を散策してみた。
佃煮屋を過ぎて少し行くと、右手に住吉神社がある。
今ではあまり目立たずひっそりと佇んでいるが、徳川家康もお参りした由緒正しい神社である。
住吉神社
そこを過ぎると別世界となる。
高層マンションが競うように林立していて、まるで未来都市のようである。
町が醸し出す暖かさは全く無く、機能本位だけという感じがする。
ここは元はといえば、石川島播磨重工業の工場跡地で、ここにリバーシティ21という大規模高層マンションを建設したのである。
価格がそれほど高くないということもあって、かなりの人気となり、多くの若いサラリーマン家族が住んでいる。
リバーシティ21の町並
まだまだマンションの建設が続いているので、もしかしたら老舗の佃煮屋もマンションとなってしまい、そのマンションの1階に店を出すようになってしまうかもしれない。
私の子供の頃の弁当の定番は、佃煮とか魚肉ソーセージだったが、今は佃煮を殆ど食べることが無くなった。
もしかして、今の若い人は佃煮を知らないかもしれないなー。
隅田川沿いのリバーシティ21
(おまけの話)
住吉神社の裏を歩いていたら、古ぼけた店が並んでいた。その1軒に薬局があり、ガラス戸にポスターが貼ってあった。
ポスターには「80年の歴史と伝統・大高酵素」とあった。
懐かしくて、思わず写真を撮った。
大高酵素は、私が夏に滞在中の何年か前に、伊達工場を見学させてもらったことがある。
薬局のポスター「大高酵素」
すると中から薬局の主が出て来て、不審そうな顔をした。
そこで私は、『私は北海道伊達市から来たのだが、大高酵素が売られていて、嬉しくなって写真を撮っているだけです』と言い訳をした。
しばらくオヤジと大高酵素の話をし、その後、町の変りように付いても話が弾んだ。オヤジは、『高層マンションが出来て人口は増えたが、人通りは減った』と寂しそうだった。
高層マンションの住民達よ。町で買い物をしよう。
私はしている。