■ハワイの和尚の仏画展
今年も銀座・松屋デパートで開催される仏画展に、ハワイから荒了寛和尚がやって来た。 今年の仏画展は協賛として、女優の佐久間良子、作家の瀬戸内寂聴、雅楽師の東儀秀樹などが書や絵画を出展している。
仏画展の前日に、荒了寛和尚、私の仏像彫刻のE先生と私の3人で新宿の寿司屋で打ち合わせをした。
今回は了寛和尚の描く絵説法に合わせて、E先生が羅漢像を3体彫って、それを展示することになった。

銀座は近いし、和尚とも知り合いの女房を誘って仏画展の初日に松屋の会場に行った。
会場で了寛和尚を見付けた女房が挨拶をしたら、覚えていなかった。年をとると、必要の無いことから忘れていくようである。
天台宗は檀家が殆ど無い上に、ハワイに進出した時期が遅かったこともあり、了寛和尚はいつも金の工面で苦労している。でもその苦労を顔には出さず、口に出す。
それがなんとも人情味が溢れていて、私は和尚が好きだ。

83歳となった今でも、ハワイで和尚は50年も前の巨大なシボレー・インパラを自分で運転している。
和尚は、『来年はニューヨークで一緒に展覧会をしよう』と、かなり本気だ。でも、『生きていればね』と言う。
あの元気なら、来年も生きていることは間違いなさそうである。

(おまけの話)
あるところで荒了寛和尚の描いた絵説法が、店先に飾られているのを見付けた。
絵説法が気になったので、あまり綺麗ではないが店に入ってみた。
入った途端に、なんだか嫌な予感がした。
「うなぎ」以外に「牛すじ煮込み定食」とか、「豚肉丼」なんて変なメニューが見えた。

うなぎには上、特、丸特の3種類があり、並は無い。
でも、その上うな重が1100円であるところが気になる。
丸特でも2000円なのだから、並、中、上にした方がいいんじゃないかと思った。
期待は出来ないと判断して、上を頼んでみた。
オヤジは愛想が悪い。女房も同じだが、口はきいてくれた。
私 『荒和尚と知り合いですか?』
女房 『知り合いじゃない。』
私 『では、あの絵説法はどうしたんですか?』
女房 『店に来るお客がくれた』
・・・・それ以上は話が続かない。

出て来た「上うな重」は、うなぎが干物のようになっている。
売れないので、何回も焼き直したのに違いない。
両端は乾いてしまって、硬くなっている。
了寛和尚の絵説法に惹かれて入ったら、酷い目に遭った。
和尚の知り合いだったら、あんなうなぎは出さない筈だ。