■銀座アパートメント
銀座1丁目に古ぼけたビルがある。 今にも崩れ落ちそうな感じを受ける。
以前から気になっていたので、女房と行ってみた。
そのビルの名前は「奥野ビル」である。
多分、奥野さんという方が所有しているんだろうと思う。
建設されたのは1932年というから、今から80年も昔のことである。
奥野ビルの外観
私よりも10歳も年長のビルが現存していて、しかも立派に使われていることに驚く。
建てられた当時は「銀座アパートメント」という名前で、金持ちや有名人が多く住んでいたそうである。
外観は当時のままである。
落ちそうな壁のところどころに、雑草なんかが生えている。
レトロなエレベーター
古びたドアを入ると、そこにはエレベーターがある。
当時のままの、今では懐かしいレトロな手動式ドアの付いたエレベーターは誰でもが乗りたくなるから不思議だ。
押しボタンでエレベーターを呼び、先ず表のドアを開ける。
次に中の蛇腹式のドアを開ける。そして乗りこむ。
4人乗りの小さなエレベーターは、思ったより静かに上昇して行く。
2階の通路 (ギャラリーが多くある)
2階で降りて、ギャラリーに行く。
このビルには60室の部屋があるそうだが、その内の20室がギャラリーになっているそうだ。
小さな部屋の小さなギャラリーは、どうみても趣味でやっているようで、経営的には成り立たないと思う。
1軒のギャラリーの主に聞いてみたら、やはりそうで、『年金があるからやれる』と言っていた。
そんな老後も楽しそうだ。
色々な老後があると勉強になった。
80年の歴史を感じさせる通路
(おまけの話)
奥野ビルのギャラリーには、いつも個性的な芸術家の個展が開かれている。
私は2階のあるギャラりーに入って驚いた。
ドア越しに見えたのは、女性の裸である。
いわゆる裸婦像かなと思い、恐る恐る入ってみた。
そこには予想もしない世界が広がっていた。
なんと全裸の女性の緊縛画だった。
部屋の中には40歳くらいの女性と60歳くらいの女性がいた。
ドキドキの緊縛画
私はどうしたらいいものか分からなくなり、聞いてみた。
私 「この作家は女性ですか?」
女性 「私です」
予想外の返事にうろたえた。
私 「こういうのが趣味ですか?」
女性 「まあそうです」
さすがの私もこれ以上の会話が続かない。
お礼を言って部屋を出たが、いつまでもドキドキしていた。
ペルー人作家の造形美