■マツカワが目の前に400万尾
噴火湾では幻のカレイと言われている『マツカワ』が獲れる。マツカワというのはカレイの表面が松の皮のようだということから命名された。 このマツカワは刺身にして食べるのが一番旨い。
伊達市はマツカワを名産品にしようと考えて、マツカワを増やす為に3年前から養殖事業を行っている。
その施設があると聞いたので、漁業関係者のYさんに無理を言って施設を見学させてもらった。
この施設は北海道栽培漁業伊達センターという名前で海の近くにある。
施設に入ると、そこはもう殆どマツカワを生産する工場という感じである。
所長の案内で施設を見学する。
その説明によると、成魚から卵子と精子を取り出して孵化させて、4ヶ月くらい育てて8~9センチになったところで、それを海に放流するところまでを行っている。
最初に400万尾いた稚魚は途中で何回か選別されて、最後に放流する時は120万尾くらいにまでなる。
選別場を見せてもらった。大きな水槽の両側に6人の作業員が座り、その作業は見ていて可笑しい。
夜店の金魚すくいを見ているようだ。
カレイというのは、魚の頭を右に向けて置いた場合、目玉が上に2つ付いている。ヒラメは下に2つ付いている。
栽培漁業では自然界と違い、ヒラメと同じ目の位置になってしまうカレイが生まれて来てしまう。これを放流して3年経って捕獲した場合、消費者がヒラメと勘違いしてクレームが付くのを恐れて選別しているのだそうだ。
今は3~4センチとなったマツカワが水槽の中で大量に泳いでいる。
ひらひらと舞うように泳ぐその姿が、なんとも可愛らしい。
まだまだ沢山の楽しい話を聞いたのだが、紙面の関係で載せられないのが残念である。
次に文七で寿司になった姿を見た時は、心して頂くようにしたい。
(おまけの話)
日本中に『幻のなんとか』というのが氾濫している。
そんなにアチコチにあったのでは、幻にならないと思うが、それも商売の為だろうと我慢する。
ところが15年前まで我が家には幻の『座敷童子』が居た。
奥の6畳間にそれは居た。
夜になり私達が寝ると、その部屋から時々コトコトと音がしていた。
ここからは女房から聞いた話である。
ある時の昼間のことである。女房がその部屋に入ると小学生くらいの半ズボン姿の少年が部屋の隅に立っていた。
『これは座敷童子に違いない。』と確信した女房は、そのままそっとしておいた。
座敷童子が居る家は幸せをもたらしてくれるという言い伝えがあるからである。これは日本昔話から知ったのだったかなー?
ところが、そのすぐ後に我が家では猫を飼った。
そうしたら、それを境にして座敷童子は我が家から去って行ってしまった。
でも、座敷童子が居た3ヵ月くらいの間に、彼は我が家に幸せを置いて行ってくれたようだ。
その後もなんとか座敷童子に来て欲しいとお願いしたが、いまだに幻のままになってしまっている。